マーメノイド (PS) 女の子?RPGレビュー特別編

マーメノイド / 1999年 PlayStationで発売
<マーメノイド>それは海底に住む美しき人魚。
女神アフロディテの加護を受けた理想郷マーメノイア、
この世界すべてのマーメノイドたちは
女性種族である。
辺境の村に住む
主人公アーディン。
幼少期から他の人魚とは異なる雰囲気があり、疎まれ続けていた。
ある日、指輪を拾ったことにより王宮軍の襲撃を受けてしまう。
アーディンは記憶を失い、自分自身を求めて大海原へ旅立つ。
本作に登場する人魚は女性しかいません。
しかし、主人公だけ、特殊な存在であることが明らかになるので、
正確には"女の子主人公RPG"とは異なります。
ただ、世界観は結構いいので、特別編としてレビューします。
男性のいない世界の謎を、全編海の中を舞台でお送りします。
ゲーム紹介動画(YOUTUBE)
【レビュー採点】
1.PS1のグラフィックでどこまでできるか
パッケージ裏には、世界が認めたCGムービーと銘打っている。
ムービーの祭典「IMAGINA99」でゲーム部門世界3位を受賞したらしい。
そんな祭典、聞いたこともないけどな!
たしかにオープニングCGは綺麗ですが、ゲームグラはかなりキツいです。
キャラクターポリゴンはみんな顔なし。
地形の3Dもわかりにくく、ポリゴン欠けも数多く見受けられる。
良い点は人魚の華麗な動きが表現できているところくらいではないか?
本作が、SFC全盛期にドット絵で表現できていれば名作になれたはず。
PS1というグラフィックの谷の時期に発売されたことが悔やまれます。 |
 |
 |
2.世界観とシナリオがこのゲームの特筆すべき点
人魚の世界、これは惹かれますね。
登場する人魚はみんな女の子だし、キャラデザもかわいいです。
何より、男性種が存在しないという世界観は面白いです。
それ故に、この世界における主人公の立場が引き立ちます。
では、どうやって子供が生まれるのか?
この世界では、子を望む人魚が生命の泉で儀式を行うと受胎します。
この不自然な生命の誕生に疑問を持つ者も現れます。
シナリオは、物語の質はいいが最後のまとめ方がもったいないかな。
ただ、忌み嫌われる主人公の描き方は素晴らしいです。
登場人物も個性的で、それぞれの視点で語られています。 |
3.戦闘システムがなかなか面白い
戦闘参加は3人パーティになります。
全部で6人仲間になりますが、控えキャラは経験値が入りません。
私はここが好き。最近の作品は控えキャラも成長するのが気に入らない。
物理攻撃は、サガシリーズのように、閃き習得するタイプです。
閃きは、装備武器によってすべて異なります。
技を覚えると整理が面倒ですが、連撃が増えていく楽しさがあります。
しかし、バランス面で難があります。
セーラのような、攻撃/魔法のバランス型が使いものにならなくなります。
魔法はアイテムで習得なので、キャラクター個性があまり出ません。
詰めが甘いですが、なかなか面白いシステムではあります。 |
 |
 |
総評:70点!
私はRPGの世界観を重視しやすい傾向があるので高評価です。
シナリオは本当に面白いです。
"女だけの世界"の謎に巻き込まれる、登場人物の描き方は抜群。
"男性"がいない世界なので、男女の惹かれあう感覚がわからない。
厳密には主人公は女性ではないことが判明しますが、
嫌われ続ける主人公に、仲間が惹かれる微妙な心情変化は秀逸。
敵役となるアイズマンとマザー・マーの"正義"も見事に描かれてます。
女の子RPGではないですが、マニアはやっておくべき作品と言えます。 |
全編海の中でのRPGが異彩を放つ!
まずは登場キャラクターを紹介します。
<蒼き髪のアーディン>


本作の主人公。幼少期から、「おまえは違う」という理由で疎まれ続けてきた。
もの珍しい髪の色、蒼い瞳、ふくらまない乳房・・・
男性種のいないマーメノイドにとって、自分がなぜ他の子と違うのかわからない。これほど厳しい人生はない。
そこに追い打ちをかけるかのように、王宮軍に襲撃されてしまう。
唯一の理解者である母ディアーネが攫われてしまい、母を救出するために王宮へ向かうことになる。
<流麗なる短剣セーラ>

炎のように赤い髪をなびかせる凄腕の賞金稼ぎ。
お宝の情報を聞きつけてやってきた辺境の村で、気を失っていたアーディンを救ったことで共に行動するようになる。
冷酷な性格を見せつける一匹狼だったが、アーディンに惹かれていきツンデレな一面を見せることもある。
共に旅を続けるうちに、この世界の歪さに気づき始める。
<街の情報屋ルーク>

孤児院のばあさんの使いとして情報屋をしていた小さな人魚。
明るい性格で正義感の強い女の子。
この世界では簡単に子を授かることができるので、母の愛情がなく孤児が増え続けている。
彼女もそんな孤児のひとりで、アーディンたちと出会い、まだ見ぬ世界へ旅立つ。
<祝福されしティアラ>

美しい金色の髪をなびかせる王宮メーエリアの王女。
王宮に隠された地下洞窟で、巨大な壁画に描かれたマーメノイドを発見する。
アーディンと出会い、壁画に描かれた人物とそっくりだったため、アーディンに魅了される。
王家の運命と自由への憧れとの狭間で、悩み、苦しみ・・・その魂は次第に高貴なものへと変わる。
<孤独にして輝く者アイズマン>

王宮に忠誠を誓う騎士、光を携え歩む者。
人々の平和を強く願い行動するが、古き友であるマザー・マーの暴走に心を痛める。
この世界が、女神アフロディテを存続させるためだけにあることを知ってしまうのだが・・・
敵役にして、正義の化身のような存在感を放っており、強烈な強さでアーディンと対峙することになる。
<静かな海のマーサ>

祝福されしティアラの親友でいつも行動を共にしている。
王宮きっての令嬢であるが体が弱く、それ故に心も繋がれて自由に羽ばたけないでいる。
ティアラが王宮を去ったあと、一人苦しみながら運命の渦へと巻き込まれていく。
男性がいない世界のため、アーディンに対する奇妙な感情が、恋心であることを知る由もない。
やっぱ登場キャラが女の子だらけって素晴らしいですね!
世界観とシナリオは完璧に近いです。
グラフィックに難があるものの、話が面白いので途中で詰むことはないでしょう。

戦闘システムの閃き習得が楽しいので、やり込みたくなりますね。
シナリオだけ楽しみたいなら、技の習得は必要ないので、INT値の高いティアラ、ルークを育てればEDまで行けます。
ネタバレは避けたい気持ちもありますが、主人公アーディンは外見からして男性ぽいのでまるわかりですね・・・
アーディンの嫌われ続ける生い立ちは、NARUTOっぽいですね。
そんな中で、彼に引き付けられる仲間が現れ、協力していく物語にアツくなります。
そしてなにより、"男性が存在しない世界"での微妙な感情表現が面白いものです。
今回は、主人公自身が女性であるという設定で進むので、女の子RPGとしてレビューしました。
レビュー点数は70点と高くないですが、これはどうしてもPS1のグラフィックが原因です。
変わった世界観を楽しみたい方にはオススメの作品ですよ!
【TOPへ】