カワイイ娘ニハ旅ヲサセヨ

デスピリア -deSPIRIA- (Dreamcast) 女の子RPGレビュー

人の心を覗ける怖さ



2000年:ドリームキャストで発売


今回は特殊なホラー作品のレビューです。
当サイトには不釣合いなゲームですが、主人公は女の子なので紹介します。
ジャンルは、マインドRPG。ご存知、株式会社ATLUSの作品です。
ホラーゲームですが、ATLUS作品なのでやりごたえ十分。絶望的な世界観を堪能してください。

システムの特徴は、相手の深層心理に潜む"心の声"をヒントに謎解きしていく「マインドダイブ」。
人だけでなく、物に宿った残留思念にもダイブできます。
戦闘システムは、よくあるホラーゲームとは格が違います。
女神転生シリーズの仲魔のように、作成したマインドを連れて戦います。

絶望しかない世界は、本来のATLUSの十八番ですね。
このレビューでは不快な画像がいっぱい出てきますので注意してください。

ゲーム紹介動画(YOUTUBE)



【レビュー採点】


1.絶望のSTORYこそアトラス作品+30点

メガテンの退廃した世界こそアトラスのゲーム。
こんなアトラスらしい作品をやってなかったなんて、私もまだまだですね。
雰囲気は、PSで発売されたクーロンズゲートに似ています。
でも、クーロンズゲートは戦闘がヒドかったので比較にならないか。

STORYについて。
全部で6章から構成されていて、舞台は大阪が中心となっています。
1章は、主人公が列車事故に巻き込まれるADV要素が強いお話。
生存者が次々と死んでいく光景は、グロテスクこの上ない。
もう1章だけで満足。まさか6章まであるなんて思いませんでした。
STORYの核となる事件は、2章から発生していきます。
登場人物も胸糞悪くなるヤツばかり。あなたは耐えられるかな?

2.ホラーゲームらしからぬ本格RPG+30点

普通この手のホラーゲームはアドベンチャーと表記されやすいです。
だから戦闘はおまけ的な出来だろうなと、どうしても思っちゃうものです。
しかし、さすがはアトラスのRPG!
主人公が"マインド"を2体召喚して戦います。
メガテンと似たシステムで、 主人公+マインドのスキルを駆使して戦います。
マインドには4つの属性があり、習得するスキルが異なります。
このバランスが大事。全属性のマインドを作って育てておく必要があります。

敵は気持ち悪いクリーチャーばかり。
よくまぁこんなグロテスクな敵を作ったものです・・・。
グラフィック作った人はヤバい。私なら精神崩壊するだろう。
でも3章に出てきた普通のサラリーマン、こいつが一番ヤバい。

3.深層心理を覗く恐怖の表現力+20点

ADVの基本、人々からの情報収集です。
本作では"マインド"という深層心理にある心の声を聞く能力があります。
これは人だけでなく、物に宿る残留思念もダイブできます。
マインドダイブすると、色々な文字が飛び回ったり、消えたり。
文字だけで恐怖を表現するので、様々な視覚効果を見せてくれます。

ただ、悪意に満ちた深層心理にダイブするとダメージを受けることも。
死体や、精神崩壊した人物にダイブするときはヒヤヒヤしました。
それに加えて"音"がこのゲームの怖さを引き立てています。
悲鳴・吐血・切り裂き音・心拍音など、本当に心臓に悪い音ばかり。
推理はそれほど難しくないので、攻略本は必要ないですよ。

4.アトラスRPGのシステムは最高+20点

マインドは戦闘を詰んでもLVがあがりません。
ボス系の敵が落とす"記憶素子"を投与して育成させます。
レベルが上がるとマインドが変化し、スキルを2つ引き継げます。
スキル継承はメガテンぽいですね。カジャ・ンダ系のようなステータス変化や、
状態異常攻撃が重要になっているので、優先して継承させておきましょう。

作成できるマインドは60種類以上あるようです。イベントでもらえることも。
やられたマインドは「開放」という最終技も使えるので、難易度は中くらい。
アトラスとしては少し低めに設定されていますが、ちょうどいいです。
ホラーADVを楽しみながら、RPGとしても十分楽しめる出来栄えですよ。

合計:100点!
これをつまらないという人はいないのではないか?気分が悪くなるストーリーですが、まさに名作といった感じです。
デスピリアの公式サイトがあったのですが、インデックス・ホールディングが破産した頃に消滅しました。
2014年現在、ウィキペディアも存在せず、このゲームの情報がなくなりつつあります。
マイナータイトルですが、ホラーゲームとしては今のところNo.1の面白さ。そして気分の悪さもNo.1です。

【マインドホラーの画像を紹介】

グロいっ!
どんどん死んでいくっ!
嫌な気分しか残らないっ!


2000年のグラフィック技術だから表現できた"気持ち悪さ"は、他のホラーゲームにはないパンチ力があります。
たくさん登場するグロテスクなクリーチャーの数々。作っていた人は頭がおかしくならなかったのか心配・・・。
1995〜2000年頃の作品は、製作者が本気で呪われた噂のあるゲームも多々ありますからね。

ホラーゲームに大切なものは、グラフィックではなく演出方法。そして想像させる表現。
今のグラフィック技術だと、リアルすぎて全く怖さがありませんよね。
リアルなグラフィック表現ができかけていた時期。
人物の作り物のような"気味の悪さ"が残るグラフィックがこの作品にマッチしています。

〜血みどろの表現〜
第一章の列車事故。登場人物が次々と殺されていきます!
肌の色が灰色っぽい人が多いので、返り血の色も生々しいコントラストです。


女の子、子供、クリーチャー、教会の司祭さんも次々と死んでいきます!


この血の表現は、血みどろの背景の場所とかのほうが気持ち悪いかもしれませんね。
人体実験室や、殺戮現場などにこびりついた血がいい感じに気持ち悪かったです。
それとホラーとは関係ないですが、ステータス異常「出血」発生率が高くめんどくせぇ!

〜不意打ちのビックリ表現〜
不意打ち、これがやばい。
気を抜いてはいけない!常に緊張感を持ってやらないと心臓が止まってしまうぞ。


Ah...左の画像は第一章に出てくる部屋。入ったとたんに巨大アンドロイドが並ぶ部屋。
この不意打ちはズルい。びっくりしちゃった。
右の画像は第二章。画像はどうってことないが、完全に油断していてびっくりしちゃった。
部屋に入ろうとしたら入れずに、人が出てくるだけなんだけどね。


Oh...左の画像は第三章。なんてことない駐屯場にあるポスターと調べるとコレだよ。
ポスターは指名手配の写真でした。アップで出てくるからびっくりしちゃった。
右の画像も第三章。スラム街の暗がりから出てくる女。ちょっとだけびっくり。

ホラーゲームとしては結構長いSTORYだし、レベル上げしたりもするので、どうしても緊張感が緩むものです。
そんなときに不意打ちでホラー表現が来ると、本当に心臓によくないですね。
ぜひとも部屋を暗くして、ヘッドホン音量高めでプレイしてください。

〜おっぱいポロリ表現〜
うれしくないっ!
ポロリが全然うれしくないぞ!!


なんて不愉快なおっぱいだっ!


メガテンで体中におっぱいがついてる悪魔がいましたよね。あれのほうがまだいいです。
ぽろりしているのは人間ではなくクリーチャーの類なので、セーフですかね。びーちくも付いてませんし。

ゲーム感想
ホラーゲームはそんなに好きじゃないのですが、このゲームは面白い。紛うことなく名作。
ただ、最後まで気分が悪い。面白いんだが胸糞悪い。
マインドダイブという深層心理を覗いて謎解きするのですが、絶望的な心の声ばかりで気が滅入ります。
子供たちばかりが、悲惨な事件に巻き込まれるストーリーもやりきれない。
誘拐、人体実験、事務的に死体処理される子供たち。「痛い、痛い・・・ママ、ママ、助けて、もう殺して・・・」
そんな中、ネタキャラもたくさん出るのでちょっとは気休めになるかな・・・。


歩き回れば何かしらイベントが進むので、それほど詰まることもなくEDを迎えました。
終盤でバッドエンドになりそうな選択肢がいくつか出ましたが、マルチエンドなのかな?
どちらにしても絶望的な未来しか見えないけれど。

さて、肝心のRPG要素ですが、シンプルながらしっかりと出来ています。
開始早々に入手した武器は、なんと蟲。主人公は針・蟲・胸当て・指輪を装備できます。
あとはLVアップによってステータスが上昇します。


でも重要なのはマインドと呼ばれるちょっとグロい仲間たち。
マインドは「怨、愛、死、絶」の属性があり、最初は4体連れていけます。
死・絶属性は弱いですが、状態異常攻撃や、ステータス変化スキルが優秀です。
メガテンのように、対BOSS戦ではステータス変化などが重要になるので侮れません。


本来のアトラスらしさが詰め込まれた作品でした。
この雰囲気、ぶっ飛んだ異常で奇妙な世界。昔はそんなアトラスに惹かれていたのですが・・・
楽しみにしていたペルソナ3が、チャラチャラしたゲームになってしまい、
楽しみにしていたライドウが、アクションRPGになってしまい、
楽しみにしていたメガテン4は、なんか悪魔が特撮キャラみたいになってしまい、
もう中身のない世界樹の迷宮シリーズでも延々作ってろよ。と内心思っていたところで出会ったこの「デスピリア」。
誰も救われない、絶望的な世界、最高です。カムバックATLUS!!

しかし・・・

この絶望的な世界でも救われたヤツもいるらしいっ!?

暴力パブのホステス、人喰いのサオリン
右腕と顔を食べた常連客とフォーリンラブ!
なんでだろう・・・救われた気がしないっ!

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