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ゲーム日記:倫敦精霊探偵団 Episode.11

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ゲーム日記:倫敦精霊探偵団 Episode.11

~前回までのあらすじ~

19世紀、蒸気機関の発明により、めまぐるしい発展を見せる倫敦。
少年は、名探偵エヴァレットの弟子として探偵業を営んでいた。
順風満帆に思えた彼の人生は、ひとりの探偵との出会いにより
大きな陰謀に巻き込まれてしまうのであった。
そして・・・
数多の思惑が交錯する『倫敦万博』がついに開催された。


倫敦市民待望の万博が、とうとう開催された。
開会式典では、倫敦市長と特別警備主任のエヴァレット氏による
テープカットとともに幕開けとなった。
今世紀最大となる博覧会は、倫敦のみならず全世界から注目を浴びている。

第十一話 ~精霊たちの集まる場所~

万博が開催されてからというもの、特別警備主任を任された先生は
事務所を留守にしているので、探偵業は開店休業状態が続いてる。
ボクは手を余していると・・・
意外な人物の訪問で、今回の”事件”は動き出したんだ。

ヴァージル 「キミに・・・頼みたいことがあるんだ」

久々に、倫敦精霊探偵団の活動開始だ。
とは言っても、今回はヴァージルたっての希望である、万博の見学。
今までみたいな突拍子もない怪事件とは無縁だろう。
って、心の中で思ってたんだと思う。
それが、ボクらの運命を左右することになるとも知らず・・・


万博が開催されて三日目。
実際に開幕した万博を見学するのは、今回がはじめて。
倫敦市民は、万博の話題でもちきりだ。
地下鉄も今のところトラブルもなく、順調に稼働してるみたいで、
全世界からやってきた様々な人々で賑わっていた。
人ごみに慣れてないヴァージルさんは、かなり参ってるみたいだけど。
アリエス、そしてヴァージルの三人で、大盛況の万博へ足を踏み入れた。


世界各国の”珍しいもの”が展示された博覧会。
ー 植物園、恐竜展示場、海底展覧会、機械部門展示場 ―
まさに、「今世紀最大の万博」に相応しいラインナップだ。
そして、最も注目を集めているのが、人工太陽という発明だ。
太陽のエネルギーを、人工的に再現したというその代物は、
蒸気機関に代わる大発明の登場だという噂が流れていた。

ヴァージル 「・・・息苦しい場所だね。なにか・・・イヤな予感がする」

そう言うと、ヴァージルさんはフラフラと会場を出て行っちゃったんだ。
追いかけたほうがいいかな?とは思ったけれど・・・
アリエスは万博を楽しんでるみたいだし。
急にアリエスと二人っきりになって、ボクはちょっと困っちゃった。
「ねえ、次はキレイなお魚さんを見にいきましょー」
こ、これって、デートみたいに、周りから見られるのかなぁ・・・


アリエス 「ここね、夜になるとオバケが出るんだって!・・・それでね♪」

・・・またはじまったよ。
アリエスと一緒にいて穏便に過ごせると思った自分が間違いだった。
ボクとアリエスは、真夜中の万博会場に忍び込む。
相も変わらず、”そういうこと”になったんだ。


ー その夜 ―
ボクは眠い目をこすりながら、アリエスと合流して会場へと向かった。
なぜか、会場ゲートは開けっ放しだ。
会場内は漆黒の闇に包まれている。
まずは入口にある大ホール。そこには人工太陽がそびえ立つ・・・
二人の足音だけが響き渡る。
「ねぇ、あんた帰りたいんでしょ?正直に言っちゃいなさいよ・・・」

さすがのアリエスも、この雰囲気には及び腰だ。
ひと通り周ったボクたちは、足早に出口へ向かって歩き出した。
ようやく入口の大ホールへと戻った、そのときだった。


「・・・あの人の気配がします・・・でも・・・どこ・・・なんでしょう・・・」

オバケ・・・いや、あれは見覚えがあった。
霊園の墓前で見かけたユーレイ ――― たぶん精霊だと思う。
アリエスが近づくと、二人の霊は霞んで闇の中に溶けていった。
誰かを探していたみたい。
いったい誰を探してたんだろう?
気になるところだけど、気味の悪い会場を早々に退出しよう。


会場を出ると、そこにはヴァージルさんが待ち構えていた。
ヴァージルさんは、ここにも”力を持ったモノがいる”と言う。

昼間に、「イヤな予感がする」と言ってたヴァージルさん。
ボクはこの万博を見学して、胸に鈍い”おもり”のようなものを感じた。
うまく表現できないんだけど・・・
最先端の発明の数々が、心の中で「危険だ」と訴えかけてくるんだ。


万博会場の中は真夏の倫敦とは思えないほど、ボクは寒気を覚えていた。
ヴァージルさんの言う通り、万博の呪い事件の石像とはわけが違う。
明らかな”悪意”を持ったモノが纏う雰囲気が漂っている。

ヴァージルさんを頼りに、恐る恐るラウンジ方面へと足を運ぶ。
この先で、悪意を放つモノとの戦いがあるはずだ・・・


ラウンジの中は、スライムのような物体に溢れた精霊の巣窟だった。
いや・・・
これはもともと人間だったモノの成れの果てじゃないのか!?
ヴァージルさんがそのモノたちと話をしている・・・
精霊とコンタクトを取っているようだ。

「・・・なに?・・・い、いけない!」

凍り付くような気配が迫り来る。
ついに、悪意に満ちた相手が姿を現した!


ボクとアリエスでは、相手にかすり傷ひとつつけることすらできない。
ヴァージルさんの従える精霊たちの力を借りて、やっと立っていられる…

愚者の女王「愚かね…あんたたち、すぐ死ぬくせに文明だ繁栄だって…」

なんとか、悪意に満ちた”精霊”を退散させたヴァージルさん
従えていたスライムのような存在も、そいつと一緒に消えていった。
愚者の女王と名乗った精霊は、この万博が呼び寄せたのだろうか?


ヴァージルさんは、このままでは大変なことが起きてしまうという。
そうは言っても、今さら万博を閉鎖することなんて無理だよ。

ボクたちはヴァージルさんを見送って、高台の散歩道を歩いていた。

アリエス 「ねえ、あたしの名前のことなんだけど・・・」

ボクは黙って聞くことにした。

― パパがね、”星座”の名前からとってくれたんだって。
― 知ってる?おひつじ座のこと、アリエスっていうのよ。

そう言ってきたアリエスの声は、なんだか寂しそうに聞こえた。
夜空を見上げると、雲ひとつない倫敦の夜空があった。

― 小さいころパパにおひつじ座の星を教えてもらったんだけど…
― 今は、ぜんぜんわかんないのよねー

ボクはうなずくことしかできなかった。
蒸気機関が本格的に稼働する以前の倫敦の街。
ボクが生き延びてきた路地裏でも、満天の星空が広がっていたのに。
今は、排気ガスに覆われ、月明かりがかすかに届く程度だ。
ボクは、ひとつの決意を胸に秘め、
アリエスの一歩前を歩きながら、探偵事務所へと帰っていった。

Episode.11 ~精霊たちの集まる場所~ END

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