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ミラクルファイト

  • Posted by: 連射太郎
  • 2006年8月30日 16:57

1996年9月11日
 
 

 
 
 
観光で忙しない一日目と拘束時間のやたら長い2日目の団体行動を終え、
晴れて今日は自由行動の日である。

と、誰を誘おうか…うーん、
2年生になってからというものの部活動に集中して
同級生とはロクに遊んで無かったからなあ…
 
ここは一つ、団体行動の同班でもあり、
唯一1年からの級友である好雄と行動を共にしようと思い奴を誘う事にした
 
 
すると
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
好雄
「あぁ、いいぜ。だけど俺今日別のクラスの奴と
約束してるんだよ。良かったらお前も来るか?」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
と、二つ返事で答えが返ってきた。
 
 
 
 
うーん、相変わらず社交性に長けた男だ(他はからっきしだが)

と、珍しく好雄を見直しながら
俺は奴の後についてその約束相手とやらの観光に同行する事にした。
別のクラスの友人か、ま、適当に合わせていれば何とかなるだろう。
俺と早速好雄と共にロビーに向った
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
???
「おーい早乙女くーん!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ん、この耳にベトつく野太い濁声は…
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
好雄
「ようっ穴吹っおはよう!」
 
 

「…」
 
 
 
 
 
 
 

「おはよう」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

うわぁ…


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
そこに居たマルコメは忘れもしない、
昨日阿寒湖で青ざめた顔をしていたストロボ(穴吹)だった。
 
あの事件があってからというもの俺のこいつに対する印象は最悪である。
クラスメート時代も何とかしてケツを掘られまいと避けてきて、
ようやく2年になると別なクラスになり
もう会う事もあるまいと安心してはいたが、
あろう事か、こんな形で再開するとは…
 
 
それにしても
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
…なんて格好してやがる
 
 
 
 
 
 
好雄
「どーしたんだ浩二、
早く行こうぜ?」
 
 
穴吹
「あ、田中君も一緒に来るのかい?」
 
 

「い、いや…俺、
急用思い出してさ、悪いな好雄」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
好雄
「なんだー?そうなら先言っとけよな、
行こうぜ、雄誤」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
穴吹
「うん、それじゃあ田中君」
 
 

「あ、ああ…」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
いやあ、参った…まさか好雄と穴吹がまだ付き合っていたとは…
他人の人脈ってのは深いもんだ。
 
 
 
 
俺はそう感心しつつ、
これからの自由行動の問題が残されてる事に気付いた。
うーん、観光地にまで来て一人で名所巡りってのも虚しいなあ…
しょうがない、土産探しがてらデパートにでも入って余った時間はブラブラするか

と、高校2年の修学旅行とは思えない
非常にネガティブなブラリ旅を企てていると、
後ろから聞きなれた声が俺の背中を呼び止めた
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

紐緒
「浩二君、私に挨拶も無いのね」
 
 
 
 
 
 
 
あ、紐緒さんだ、どうしたんだ一体
 
 
 
 
 
 
 

「あ、おはよう紐緒さん。
どうしたんだい、紐緒さん別クラスなのに」
 
 
 
 
 
 
 

紐緒
「貴方、もしかして一人なの?」
 
 
 
 
 
 
 

「え、そうだけど。どうしたんだい?やぶからぼうに」
 
 
 
 
 
 
 

紐緒
「危険よ…危険だわ!
私が一緒についていって上げる」
 
 
 
 
 
 
 

ん、なんだ!?
予想外に有難い事ではあるが相変わらず理由が解らんぞ、
とりあえず反感食らうと怖いので黙って従うとするか
 
 
 
 
 
 
 
 

「あ、ありがとう。助かるよ…」
 
 
 
 
 
 
 

紐緒
「当然ね、それじゃ行きましょう」
 
 
 

「どこに行くんだい?」
 
 
紐緒
「いいから私について来なさい」
 
 

「はい。」
 
 
 
 
 
 
 
という訳で、相変わらずのペースで俺は紐緒さんに連れ去られた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

【時計台】


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


「でかいねぇ」
 
 
紐緒
「目立つ場所に時計があるのは便利ね」
 
 

「学校か何かでも昔から使われてる手法だよね。
合理的だね」
 
 
紐緒
「さっさとデジタルにすればいいのに」
 
 

「そ、そうすると文化的価値が薄れるんじゃない…」
 
 
紐緒
「ふん、伝統主義ね。科学の敵よ」
 
 

「そ、そうかもしれないね」
 
 
 
 
 

紐緒
「その内、私の目覚まし時計にしてくれるわ」
 
 

「あ、それは便利だねぇ」
 
 
紐緒
「ほほほほほ!」
 
 

「ははは」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
と、俺等は観光に来てる周りの人間から冷ややかな視線を感じながらも、
時計台の内部見学等もさせてもらいそれなりに楽しんだ。
 
 
 
 
 
 
 
紐緒
「ふう…陳腐な構造の建物ね、
私だったら3日でこれ以上の建物に仕上げられるわ」
 
 

「流石だねぇ」
 
 
紐緒
「北陸を拠点にして発射基地を設ければ
他国への牽制になるわね…」
 
 

「紐緒さん!?」
 
 
 
 
 
 
 
俺は彼女のただならぬ眼力に脅え
思わず大声を出し彼女を現実の世界に引き戻した
 
 
 
 
 
 
 
紐緒
「あっ ひ、独り言よ。
気にしないでいいわ」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
明らかに本気を感じさせたが
下手に深入りしてとばっちりを食らうと怖いので黙っておこう
 
 
 
 
 
 
 
そうだ、あのロビーで言ってた「危険」について聞いておくか
 
 
 
 
 
 
 

「紐緒さん?」
 
 
紐緒
「なっ何よ!?
 時計台の地下に巨大誘導騨の発射基地とコントロール室を
 設立すれば他国の住民全てを統治下におけるとか目論んでないわよ!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
こ、この人は…
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


「い、いや、それは思ってないんだけど。
ほら、今日声をかけてくれた時に「危険」って言ってたじゃない。
あれの意味が解らなくて、もしよければ教えてくれないかな」
 
 
紐緒
「ふう、馬鹿ね貴方、
 北陸には敵が沢山居るのよ…」
 
 

「敵?」
 
 
紐緒
「そう、敵よ。人の肉体では遠く及ばない猛獣や、
 得体の知れない非科学的生物」
 
 

「猛獣や非科学生物!?な、なんだいそれは!」

俺は彼女のその言葉に興奮し、
思わず声を荒げてしまった。

すると彼女は信じられない一言を口にした
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

再生ボタンで紐緒さんと田中の会話の模様が見れます


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「くっ熊と!?危険って熊!?
 つーかどうやった戦うんだよ紐緒さんっ」
 
 
紐緒
「ふっ、馬鹿ね、科学の力が何の為にあると思っているの、
 浩二君。」
 
 

「はっ!」
 
 
 
 
 
俺の脳に閃光の様なインスピレーションが過ぎった
 
 
 
 
 
 
 
俺「そ、そうか紐緒さん。
君は科学と自然を闘わせるんだね!」
 
 
紐緒
「そう、そして科学者は常に自然や野生と敵対関係にあるの、
半人前とはいえ科学者の端くれである貴方が狙われるのもまた運命」
 
 

「そんなボクを守ってくれようと…」
 
 
紐緒
「ようやく私の偉大さが理解出来てきたようね…」
 
 

「ありがとう紐緒さん…」
 
 
 
 
 
 
 
俺が感情に振り回され感激してると、
彼女は畳み掛ける様に誘いをかけてきた。
 
 
 
 
 
 
 
紐緒
「浩二君、明後日も一緒に行って上げるわ。
きっと奴はくる筈よ」
 
 

「うんっありがとう!」
 
 
 
 
 
 
 
そして、明後日の自由行動の約束もして
俺と紐緒さんは分かれようとした、その時である
 
 
 
 
 

「ぐわぉほぅー!」

         

俺「やっ野生だ!」






紐緒
「くっ…!どうやら予定より表れるのが少し早かったわね…
 浩二君腕を貸しなさい!」


「えっえっ腕って!?」

紐緒
「いいからっ!さっさと腕を巻くって私に任せなさい!」


「はっはい!」









俺は彼女に一括されると腕を捲り彼女のなすがままにした

すると彼女はポケットから黄土色の液体が入った太い注射器を取り出し
俺の腕にぶっとい針を躊躇無くさしてみせた


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
その針が俺の血管を刺した瞬間、
俺の全身に稲妻の様な衝撃が走ったのを感じた
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
そして興奮とも快楽ともつかない感情であの熊に対決を挑んだ、
幸い紐緒さんが熊との対決場所を誘導してくれた為、
他の観光客にその惨劇が目に付く事はなかった。

闘いの結果は
 

 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
科学の力が勝ったのだ。

この力さえあれば彼女がいう野生の他に忍ぶ得体の知れない生物、
また、俺を追い詰めたあいつらに報復を…
 
 
 
 
 
 
 
その後、俺と紐緒さんは時計台に戻り
二日後の再開を約束した
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

紐緒
「ちなみに今日の事は私と貴方の秘密よ。
 それじゃ明後日の自由行動、ロビーで待ってなさい」
 
 

「ああ、紐緒さん楽しみにしてるよ、
 ちなみにこのビルドアップ効果っていつ消えるの?」
 
 
 
 
 
俺はTシャツからはちきれんばかりの筋骨隆々の
胸板をパンパン叩きながら彼女に薬の期限について聞いた
 
 
 
 
 
紐緒
「1〜2時間って所ね。先ほどの活動量でかなりの体力を
 消耗してると思うから、もうすぐ効き目は切れると思うわよ」
 
 
俺「そうか、良かった…
 流石にこの体じゃホテルに帰れないからね」
 
 
紐緒
「ただしっ」
 
 

「ん、なんだい?」
 
 
紐緒
「急激なビルドアップの反動で、
 今晩と明日に凄まじい筋肉痛が貴方を襲う筈よ。」
 
 

「えっええー!?マズいよそれじゃっ
 団体行動出来ないじゃんっ」
 
 
紐緒
「慌てるんじゃないわよ、これを上げるわ。
 いいこと、今日食後と朝起きてから2錠ずつ水で飲みなさい」
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 

「ん、このカプセルは何?」
 
 
紐緒
「鎮痛剤、及び、精神安定剤よ。
 強力だから服用量は間違えない様にね」
 
 

「こ、この薬に副作用は…?」
 
 
紐緒
「無いわよ。安心しなさい」
 
 

「ほっ…」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
そして俺と紐緒さんの北海道修学旅行、激動の日が始まりを告げた。

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