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私立きらめき白書【田中浩二】

テスト

  • Posted by: 連射太郎
  • 2016年4月 8日 00:27

テスト

目が覚めたら...

  • Posted by: 連射太郎
  • 2012年2月23日 02:59

■1997年1月5日



正月明け、病み上がりで身体が思うように動かないので

コタツに余っていたミカンの皮でみかん星人(C)ウゴウゴルーガ

を工作していたところ

pc090052_p.jpg


何故か


uvs070224-098.jpg

が自宅にやってきて、寒い玄関先で

「冬は寒くて霊感が高まるので感性が研ぎ澄まされる」

というキ印な芸術論を延々語り続けた挙句、

俺の手に持ってた作りかけのミカン星人を見るなり







片桐

「That's Fantastic!





と大興奮した様子で俺の作品を横取りし勝手に持ち帰りやがった、

あいつ早く死ねばいいのに。









あー...もう冬休みも終わりかぁ~...

新学期に向けて研究も頑張らないと

スノーブラザーズ

  • Posted by: 連射太郎
  • 2007年7月19日 21:42

■1996年12月31日

追われる様に過ぎ去った日々を惜しむ間もなく
今日は96年最後の日、大晦日だ。

きらめき高校は先週24日から冬休みに入ったのだが、
ここ一ヶ月、俺は片桐に画を描くのを強制されたせいで腱鞘炎になったり、
何故か先日のスランプから一転、
覚醒したかの如く調子の良くなった紐緒さんの手伝いで
重量50キロの鉄塊を持ったまま立たされたり、
25万ボルトの電線が数百本通ったシリコン製のケースを持たされたりと、
体力・精神力的に精根尽き果てた状態だったので、
冬休みに入ってからの一週間は殆ど自宅に引き篭もり休養をとっていた。

窓から外を覗くと雪の積もり方が凄い、
一面の銀世界とはこの事だな。
昨日は大降りだったからなぁ…

そうだな、もう雪も降り止んだ頃だし
ここ一週間引き篭もりっ放しで身体も鈍ってるから
リハビリがてら近所のレコードショップにでも行くか。


俺はお気に入りのダウンジャケットを羽織るとジーンズを穿き、
久々の外出で微妙に込上がるテンションに身を任せ
勢いよく部屋の戸を開けて外に向おうとした、
その時
 
 
 
 
 
 
 
 
「ピンポーン」
 
 
 
 
 
 
 
 
まるでこちらの出方を伺っていた様なタイミングで
自宅のチャイムが鳴った

 
 
 


「ん?一体誰だ?」


俺は小走りで玄関に向かい
チャイムを鳴らした相手を確かめに行った
 
 
 
 
 
 
 
「ガチャ」
 
 
 
 
 
 
 

「はい、どちら様ですか?」
 
 
 
???
「こんにちわー」
 
 

「あ、君は、確か好雄の妹の?」
 
 
 
 
 
 
 
彼女の名前は早乙女優美。
クラスメートの友人「早乙女好雄」の妹で一学年下の後輩だ。
確か今年の入学式で好雄に紹介されて挨拶をした位で
その後は特に付き合いも無かったがどうしたのだろう急に?
 
 
 
 
 
 
 

優美
「そうです、お久しぶりです先輩(^^」
 
 

「どうしたの好雄が死んだの?」

 
 
優美
「死んでませんよぉっ!(^^;」
 
 
 
 
 
 
 
好雄の身に特に何も無いとなると益々
思い当たる節が見当たらない。
うーん
 
 
 
 
 
 
 

「じゃ、どうしたんだい今日はまた急に?」
 
 
 
  
  
 
 
 
 
優美
「外すっごく雪が積もってるんです。
 雪合戦しましょう」



「雪合戦?」

齢17の俺に思いもがけない刺客が現れ、
鳩が豆鉄砲を食らった様な顔で呆気に取られていると
彼女は半ば引きずる様にして俺を外に連れ出した
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

【田中宅前】


 


「うわー…思ったより寒いぞこりゃ。」
 
 
と、俺が自宅との温度差に身を凍えさせていると
目の前に高速の雪玉が飛んできた
 
 
 
 
 
 
 
 
「ドシャッ!」
 
 
 
 
 
 
 
そう思った瞬間、
雪だまは俺の顔に叩きつける様に飛び込み
俺は前のめりに倒れこんだ
 
 
 
 
 
  
 
 
優美
「あはははっ やったやった」
 
 
 

「この野郎っ」
 
 
 
 
 
 
 
優美
「優美昔から雪合戦は得意だったんです」
 
 
 


 
 



「上等だっこの野郎!」


 
 
 
 
 
 
 
 
俺は燃え上がる怒りの熱を雪に込めると早乙女優美に向かい投げ続けたが、
俺の投げた玉は尽く軌道を反れ彼女に当たる事は無く
そのまま時は過ぎ彼女との雪合戦は日暮れ頃まで続いた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「ぜーぜー…」
 
 
 
 
 
 
 
そして雪合戦が終る頃には俺の顔面はボコボコ、
腹部に裂傷、膝関節はギシギシと悲鳴を上げ、
手は霜焼けでアカギレだらけになっており
正に絵に描いた様な満身創痍となっていた。

雪合戦が得意といってもこれじゃ軍人レベルだ
 
 
 
 
 
 
 
 
優美
「すっごい楽しかったです。」
 
 

「あ、あのね優美ちゃん。
 遊びに誘ってくれるのは嬉しいんだけど、
 こういうのはお兄ちゃんとやった方がいいんじゃないかな?」
 
 
優美
「お兄ちゃん子供の頃は一緒に遊んでくれたのに、
 中学生の頃から「お前に付き合うと怪我するから嫌だ」
 って、言って遊んでくれなくなっちゃったんです (ノ _ ;」
 
 

「ハハハ…(成る程ね)」
 
 
優美
「それじゃ、雪が降ったらまたやりましょうね^^」
 
 

「いやぁ…出来ればやりたくないかな」
 
 
 
 
 
 
 
 
そう言い残して、
大晦日の日に突如現れた雪女は過ぎ去った。

が、その日の夜は勿論の事、
翌日、つまり元旦も筋肉痛で傷の痛みは癒えず、
俺は自室の床で暖を取りつつ休養の為に
寝正月で一日を費やすハメとなった。
 
 
 
 
 
 
俺 
「うう…何てこった、
 大事を取って冬休み前半は一週間以上自宅療養に励んだってのに…」
 
 
 
 
 
 
 
俺はボロボロになった身体のあらゆる所に湿布を張りたくって
布団に篭り嘆きながらその日一日を過ごした。


そして元旦明けの翌日1月2日。
体力的な問題だけだった今回の筋肉痛は思いの外早く引き、
俺は清々しい朝を迎える事が出来た。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「あーっ生きてるって素晴らしい!」
 
 
 
 
 
 
 
俺はそう叫ぶと朝の光を浴びる為、
閉じきったカーテンを一気に開いた
 
 
 
 
 
 
 
俺「わっ!」

そこに広がっていたのは一面に広がる銀世界。
そう、まだ雪は降り続けていたのである。
しかも連日夜通し降っていた為か一昨日の積雪量を
明らかに上回っている。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「こりゃ凄い…」


これじゃどの道外出は無理だな、と
俺が大地の脅威を思い知らされていると
家のチャイムが鳴る音がした
 
 
 
 
 
 

 

「ピンポーン!」


 
 
 
 
 
 
 

「………」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
俺は一昨日と同じ様な状況に嫌な予感を肌で感じ
表の雪景色を眺めながら居留守を決め込んだ
 
 
 
 
【BGMはシャイニング】
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「ピンポーン!ピンポーン!」
 
 
 

「…………」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「ピピピピピピピピ ピンポーン!」
  
 
 
 
俺はドラムの様に鳴り響き続けるチャイムの音に脅えながら
窓の隙間から恐る恐る訪問者を確かめた


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


「………(;´Д`)」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「ドンッドンッドンッドンッ!」
「ピンポーン!ピンポーン」


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


「………ヽ(;´Д`ヽ)(ノ;´Д`)ノ」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


「ドドドドドドドト゛ーン!」
「ピピンポーン!」


優美
「センパーイ!」


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


「キタ━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━!!」」


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

マズい…これは非常にマズい展開だぞ。

俺は彼女の訪問を知ると、
布団の中で彼女が過ぎ去るのを待つ事に決めた
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

..........  _| ̄|○
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

浩二の母
「浩二ーーーーー!あんたにお客さんよぉーー!!」

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
|玄関| λ............トボトボ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
お節介にも程がある母親の仲介により
俺は戦場に向う様な気分でガックリと肩を落としたまま
扉の向こうの彼女を出迎えた
 
 
 
 

「ガチャ」


 
 

「は、はい」
 
  
 
 
 
 
 
 
 
優美
「へへへ、先輩。また来ちゃいました。
雪合戦しましょう(^^)」
 
 
 
 
 
 
 
もうここは彼女に直接言うしか無いだろう。
友人の妹、かつ年下の女の子に強く言うのは気が引けるが
ハッキリ言ってこのままでは迷惑だ
 
 
 
 
 
 
 

「あ、あのね優美ちゃん。
今日は雪の積もり方も凄いし俺も体調が良くないんで…」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
優美
「先輩そんなのいいから早く早くっ」

 
 

「あ、ちょいま…qあwせdrftgyふじこlp…」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
俺は早乙女優美に着ている寝巻きの袖を破られる程
強い腕力で引っ張られると、
まるでストリートの裏路地でモヒカンの不良に喧嘩を
売られる様に表に連れ出された。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「だからさみぃーーーーーーーーよ!
 つーかよく俺を見ろよお前っ今寝巻きだろ!」

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
俺はもう完全に切れた様子で両手を交差して
上半身を摩りガクガクと震えながら彼女に訴えかけた
 
 
 
 
 
 
 
 
優美
「せんぱーい、いきますよー」
 
 
 
 
 
 
 
 
そして彼女は俺の訴えを無視して
ドデカイ初球を俺の顔面めがけて投げつけてきた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


「ドシャッ!」


 
 
 
 
 
 
 

「うわっぷ!」

 
 
 
 
 
 
 
そしてその雪球は見事俺の顔にクリーンヒットした
 
 
 
 
 
 

 
 
 
優美
「ハハハハ、やったやったー!
 先輩弱いなぁ」
 
 
 

俺 「上等だこの野郎!」

              俺は切れた、そして夕方まで一昨日と同じ様に 高校生の男女二人が壮絶な雪合戦を始めた。                           そして…


優美
「先輩とっても楽しかったです!また…」
 
 


「とっとと帰れこの野郎!」


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

裏職人

  • Posted by: 連射太郎
  • 2007年2月25日 23:31

■1996年12月7日

部活に紐緒さんが帰ってきてから早半月。
スランプを乗り越えた彼女は以前にも増して活発に
我が班の隅で黙々と自主研究に打ち込んでいる。

今日は螺旋状を歪ませた様な異様な形状の大型ドライバーで、
細いワイヤーを黙々とアルミ製のケースに繋ぎとめては
「バチバチッ!」とショートで火花を散らせては
その様子を電圧計で計っており相変わらず他の班の研究員から
煙たがられる研究を行いながらも
誰も文句のつけられない独特の空気が漂っていた。
 
 
 
 
 
この様に部活は以前のペースを取り戻したが
未だ解決しない問題が一つある。
そう、片桐の絵画道場だ。
 
 
 
 
俺はあれから土日・他、祝日・病欠を除く全ての日
科学部と掛け持ちして奴の脅迫に従い
毎日放課後に人気の無い校庭裏に行っては、
奴が出す突拍子も無い課題を絵にして
描くという苦行をこなしている。

そして俺は科学部の部活動を一通り終えると
今日も黒幕の待つきらめき校庭裏へと向った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

【きらめき高校 裏校舎】


 
 
 
片桐
「Hello 浩二君。課題の絵は描けたかしら?」
 
 

「ああ、描いてきたよ。家の写生だろ。」
 
 
片桐
「そう。出来れば Solitary house 一軒家よ」
 
 

「何とか描けたよ。状況的にかなり焦ったけど」
 
 
片桐
「What? どういう事?」
 
 

「まあ、とりあえず見てくれ。」
 
 
 
 
 
 
 
俺は持参したスケッチブックをめくると、
片桐に描いてきた絵を見せた
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

※しりあがり寿の漫画をトレースしたんじゃないよ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
片桐
「何なのこれは?」
 
 

「描く題材探して夜中に町を徘徊してたら、
たまたま通りがかった近所の島崎って奴の家を
庭の木に登って覗き込む帽子を被ったオッサン、
そしてそれを吠え続ける柴犬、目の前を通りがかる車だ。」
 
 
片桐
「た…タイトルは?」
 
 

「男と要塞」
 
 
 
 
 

片桐
「グレートよ!」
 
 
 
 
 
 



「ありがとう」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
こうして不毛な活動により、
今日もまた俺の身の安全が一つ保障された。

ハードボイルドな月末

  • Posted by: 連射太郎
  • 2007年2月25日 22:18

■1996年11月30日

ここ最近の通学中、
俺の周りでは同級生や他校の生徒までもが
俺の事を「ポスト古式頭取」だの「きらめき高校のシルバーデビル」だの、
「玉の輿狙いの編入生」だのといった根も葉もない噂が
延々とエスカレートの一途を辿っている。
 
 
まあ、その噂話の原因となってる大半は

のせいだと察しはついているんだが…
 
 
 
しかし今下手にクレームをつけて片桐の逆燐に触れたら
今度はまた古式さんに何を吹き込まれるか解ったもんじゃないので、
俺は先日の一件から科学部と掛け持ちしながら
校舎裏で行われる奴の絵画教室に嫌々通い詰め、
絵心の無い筆を取り奴の提示した課題を絵にして提出している。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
そして、最近解った事なのだが、
どうやら片桐は何をとち狂ったか吹奏楽部を辞め
今度は美術部に入部したらしい。

科学部に入部した事で奴とは縁を断ち切れたと思いきや、
全く溜息しか出てこない…。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
そしてテスト前という事もありただでさえ激務だった11月最週末の29日金曜日。
俺はいつもの様に放課後の部活動を終えワクワク、パーヤン両先輩に挨拶をしてから
片桐の待つ校舎裏に向おうとしたが、連日につぐハードスケジュールで
疲れきっていた俺は身体のガス抜きにと屋上に休憩に向う事にした。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


【屋上】


 
 
 
ふう…身体に溜まった悪い空気が抜けていく様だ…
 
 
 
 
 
 
 
 
俺は屋上の隅に立ち空を眺めると、
ちょっとしたデューク東郷気分で黄昏(たそがれ)つつ、
夕焼けの空に漂う一筋の雲を片桐に見立て撃ってみた
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


「バキューン!」


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
すると、俺の想いが届いたのか
その雲は突風が吹き荒れた突風に散らされる様にして
バラバラに砕け散り夕闇の彼方へと消え去った
 
 
 
俺はその雲の残骸を目にしながら空に向って大声で叫んだ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 



「死ねー!」


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
俺が目の前に落ちた薬莢を拾うパントマイムをしていると、
背後から聞き慣れた声で大声が上がった

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


「何者!?」


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


「そっ その声は! 紐緒さんじゃないかっ」
 
 
 
 
 
俺は思わぬ出会いに胸躍らせた。
実はここ2ヶ月程、紐緒さんは科学部に
全く顔を出さなかったので会う機会が無かったのだ

突然の出会いに鼓舞する胸の高鳴りを抑えつつ、
俺は彼女に向かい声高らかに挨拶をした
 
 
 
 
 
 
 

「どっどうしたんだい紐緒さんこんな所でっ!」
 
 

紐緒
「だまらっしゃい小童がっ!」


 
 
 
 
 
 
 
 
俺はその鳴り響く怒号の声量に久々の彼女を感じ満足であった。
しかし、その直後普段の彼女からは信じ難い様子が見て取れた 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

紐緒
「はぁ…」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
たっ…溜息だ!
完全無欠と思っていた彼女のメンタル面に一体何があったのだろうか…
俺は紐緒さんが心配になり、怒鳴られた余韻に浸る間もなく彼女に声をかけた
 
 
 
 
 
 
 
 


「どうしたの紐緒さん溜息なんかついて?」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
すると続いて彼女の口から
更に信じられない言葉がついて出た
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

紐緒
「全く…私らしくないから、苛ついていたんだけど、
 言ってしまえば私スランプなのよ」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


絵 エ ー っ ! ? 


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
俺は今自分の中で大きく弊害になってる一つの活動が
活字になり心の叫び声に混じる位驚いた。
 
スランプっ 
何より普段傲慢極まりない紐緒さんが負を認める自覚を持ったというだけで
これはもう十分一大スペクタルなサプライズであるっ
 
 
 
 
 
 

「どっどうしたのさ紐緒さんっ
本当にらしくないよっ!いつもの強気はどうしたのさ
 
 
 
 
 
 
 

俺は思わず激励とも動揺ともつかない、
彼女に対する印象というか日頃の感想をぶつけてみた
 
 
 
 
 
 
 

紐緒 「貴方に私の何が解るっていうの?」



俺 「全くだね!」






彼女の言うとおりである。
だが俺はどうしても気がかりで
続けざまに彼女に問いかけた






俺 「でも、本当にどうしたんだい?
 部活も以前以上に全く顔出さないし。
 俺だけじゃなくて小宮先輩や富永先輩も心配してるよ」






俺は両先輩の名を利用して
さり気無く俺が心配しているというニュアンスを含ませてみた。
直接的なアプローチでは想いが伝わらない彼女に対し
正に粉骨砕身の努力である






紐緒
「ありがとう浩二君。でも今は私一人で考えたいの」
 
 
 

「一体何がスランプの症状なの?」
 
 
 
 
 

紐緒
「どうしても良いアイディアが浮かばないのよ」
 
 
 

 

「お、俺で良かったら一緒に考えるよっ」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
俺はここぞとばかりに渾身の力を振絞り
玉砕覚悟で彼女の懐に飛び込んだ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

紐緒
「気持ちは嬉しいわ。
 でも頭を冷やして考えてごらんなさい」
 
 
 
 
 
 
 
玉砕である。

俺は一通り彼女に思いの丈をぶつけると、
気落ちしてる彼女を邪魔すまいと屋上から立ち去る事にした。
 

そしてドアを出て屋上を後にしようとすると、
後ろからブツブツと彼女の独り言が聞こえてきた。
































紐緒 「はぁ…究極破壊兵器の最後の部品は
どうすればいいのかしら…」

















「………」
 
 
 
 
 
 
 
頑張れ紐緒さん。俺は心の中でそう叫び屋上を後にした。
 

その後、俺が予定より大幅に遅れて校舎裏に向うと
待ち呆けていた片桐に頭を一発ひっぱたかれ
課題を出され来月までに描いて持って来る様に命令されて
その日はそのままお互いに帰宅という事になった。
 
連日につぐ部活と脅迫の連続で心身共に疲れ切っていた
俺には自習というのは好都合な選択肢であった。
 
 
 
 
 
 
そして翌日...
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
放課後、いつもの様に科学部に向うと
そこには元気、というか邪心に満ち溢れた以前の紐緒さんの姿があった
 
 
 
 
 

「ど、どうしたの紐緒さん?調子悪いんじゃ…」
 
 
紐緒
「フフフ…良いアイディアが浮かんだのよ浩二君」
 
 
パーヤン先輩
「ッキャー!心配したのょぉ紐緒さん^^」
 
 
ワクワク先輩
「無事で良かったねぇ」
 
 
 
 
 
両先輩の軽い会釈で場も和み我が班はいつもの調子を取り戻した。
いつもと違う事といえばこの後始まる片桐の絵画教室があるという事だけだろうか…
 
 
 
 
 
紐緒さんは今、肩に担ぐ程巨大な電気ドリルを使い
ブ暑い鉄板にガリガリと切れ目を入れ始めている
その自信に満ち溢れた様子は昨日見た気弱く頼りない
あの彼女と同一人物とは思えない。 
 
冬も差し迫る少し早い夕暮れと11月最後の想い出、
女心と秋の空とはよく言ったものである。

アイルビーバック

  • Posted by: 連射太郎
  • 2006年12月 3日 15:57


 
 
 
波乱含みの文化祭も終わり、
部活に勉強、そして休日はガス抜きに友人と遊びに行ったりと、
相変わらず平々凡々としながらも高校生活2年目にしてようやく地に着いた
学園生活を楽しみ始めたという感じだ。
  
 
と、思っていたのも束の間、何やら最近我が校の女子生徒の間で
俺に関する変な噂が流れているとクラスメートで友人の篠崎から耳にした。

その内容はどうやら古式さんと俺との間に何かあるという様な内容である。
古式さんといえば例の古式不動産の御令嬢、
いわゆる「お嬢様」というやつだ。
そういえば彼女とは以前スタジアムに行った時以来だが、
恐らくその時の様子を誰かが目にして噂になったんだろろう。
 
 
 
うーん、だがそう悪い気はしないぞ。
噂の相手は可愛い上にお嬢様の古式さんだ。性格も悪くないし。

何よりこういう噂は一人歩きするから俺個人が否定しても無駄だろうし、
様子見てればその内影を潜めるだろう。「人の噂も何とやら」というやつだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
と、悠長に構えてた俺の態度が祟ったのか解らんが、
数日経つとその噂話はさらに妙な展開を見せていた。

今度は間接的ではなく隣のクラスの女子が
俺の背後で例の噂話を話していたのを直接耳にしたのだが
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
女子生徒A
「ほら…見てあの人よ…」
 
 
 
女子生徒B
「へー…高校2年で、流石の貫禄ね。」
 
 
 
女子生徒C
「シルバーヘアに、眉金よ、かなりのやり手ねぇ…」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
一体なんだっていうんだこの妙な空気はっ!
こんなんじゃ気になって部活の研究にも身が入らない…

と、集中力を削がれる妙な噂話が続く事数日、
懐かしいアイツが俺の前に姿を現した。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

片桐
「あっ、ワカガシラ」

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


っえー!?


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


「おいっ片桐なんだよ!?
 そのワカガシラっていうふざけたイントネーションの呼び名は!」
 
 
片桐
「な〜に、あんた自分の話も知らないの?
古式不動産跡継ぎの話し、他の皆ももう知ってるわよ」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


What,s!?


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
どっどういうことだ!?
また水面下で何かが動き始めているというのか、
ともかく妙な事になったらたまらん…こいつ今「噂」とか言ってたな、
このあてつけがましい仇名の意味も知ってるかもしれん
少し詳しく問いただすとしよう。
 
 
 
 
 
 
田中
「なあ、片桐、
その「若頭」っていう尋常じゃない仇名は何なんだ」
 
 
片桐
「うーん…そうねぇ、じゃあ詳しく教えて上げるから
ちょっと私のお願い事も聞いてくれるかしら?」
 
 

「話し?あぁ何でも聞くからとりあえず
この腸煮えくり返りそうな気持ちをどうにかしてくれ」
 
 
片桐
「解ったわ、それじゃあ話すわね…」
 
 

「ちょっと待った!」
 
 
片桐
「really?」
 
 

「そういう時はWhatだこの野郎!」
 
 
片桐
「Thank you.」
 
 
 
 
 
 
 
よく考えたら、ここで込み入った話を聞くのはまずいな…
何しろネジの外れたこいつの事だ、まずい噂だった場合にも拘らず、
生徒が大勢居るこの廊下でおおっぴろげに話されたりしたら俺の立場が無い。

一先ずは周りに人気が無い場所までこいつを誘導して
話を聞きだすとするか
 
 
 
 
 
 
 

「なあ片桐、ここでそういう話をするのは気が引ける。
校舎裏の花壇に移動してゆっくりと話を聞かせてくれないか?」
 
 
片桐
「really?本当に?」
 
 

「だから復唱するなよ。
 ここでゆっくり話してたら休み時間終っちゃうだろ。
 いいのか、悪いのか、どっちなんだよ?」
 
 
片桐
「解ったわ、場所は任せましょう」
 
 

「よし」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
そして俺達は校舎裏に移動した
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

【校舎裏花壇】

そして校舎裏。

片桐の会話は相変わらずエセ英語が日常会話と復唱的にダブり
文に起こすと大変長くなってしまうので割愛するとして、
問題である噂の内容を要約すると、
先ずは俺の察し通り例のスタジアムの一件が発端となり
古式さんと俺が既に交際をしているという話。ここまでは予想がつく。
 
だが問題はここからで、
俺自身この噂に関しては取るに足らないゴシップとして
周りが飽きるまでほっとこうと遠巻きに静観を決め込んでいたが
恐らく古式さん自身は良い気分で聞いてはいないだろうな…
と、申し訳なく思っていたのだが、あろう事かあのスタジアムの一件以来、
何故か古式さんは俺に好意を持ち始めているらしいとの事である。
またその噂を直に聞いた古式さん自身がそれを否定する様子も無く
俺との交際を暗に仄めかす態度を取ったとの事だ。

まあ、だとしてもここまでなら別に俺に対して損害は無く、
逆に彼女が俺を好いてくれている事は光栄であるのだが
問題は当の古式さんの家庭環境にあったのだ。
 
これは片桐がある雑誌記事の切り抜きを見せてくれた事で発覚したのだが
以前古式さんに直接聞いて彼女の実家が
有名な不動産会社を運営してる事が解ったが、
どうやら不動産といっても「カタギ」では無い方の仕事らしく
主な事業は高利貸しを行ったり、地上げで確保した土地に
アミューズメント施設(主にギャンブル)を開業する等、
更に、中国、イタリア等、裏産業が大変豊かな御国との外資産業にも
積極的に投資を行っており世界各国のマフィアとも
繋がりがあるそうで裏の世界ではその名を知らぬ有名な御方との事である。

つまり、
古式さんと俺が本格的に付き合っているという
既成事実が出来上がるという事は…
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


うわぁ…


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
俺 
「そ…そんな。誤解もいいところだぜ」
 
 
片桐
「何よあんた古式さんと付き合ってるんじゃないの?」
 
 
田中
「よく見ろって、俺が彼女と釣合うナリしてるかよ」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
片桐
「Fantasticって感じね」
 
 

「的確だな」
 
 
片桐
「でも、彼女も実際あんたの事好いてるみたいだし、
 何か思う所があったんじゃないの、あんたなんかしたの?」
 
 

「バカいえ!俺はただ彼女に誘われてスタジアムに…」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


片桐
「attention please!」


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「な、何だよ?」
 
 
片桐
「あんた本当に解ってないのね…
 よく考えてみなさいよ、まず女の子が自分から
 気のない男を誘うと思うの?」
 
 

「カマかける位なら普通にするだろう」
 
 
片桐
「あんたねぇ、まがりなりにも御令嬢よ御令嬢!
 世間知らずなBox Girlが、精一杯貴方にPromotionかけたの。
 それも初めて、「あぁこの人の為なら何処までも…」この気持ち解る?」


「用途間違えてる英語についてはこの際無視するとして、
 想ってくれるのは、悪い気はしないけど、
 家庭環境とかそういうのが絡んでくるとなると
 話しはまた別だな…うーん困った」
 
 
片桐
「だったら貴方から直接古式さんに
 気持ちの折り合いつける機会伺えばいいじゃないの」
 
 

「ん?」
 
 
片桐
「だから自分から古式さんが言い寄ってきたタイミングで
 事情を説明して
「これこれこうだから、
 これからはプライベートで会うのは控えたいんだ。」
 って、はっきり伝えて距離おけばいいのよ。OK?」
 


「あ、成る程。それもそうか、
 次に向こうから誘ってくれたりした時に
 断るタイミングで事情を説明すればいいんだな。
 元を正せば前も俺が誘ってる訳では無いし。

 ありがとうっ片桐、
 お前意外と頭いいじゃないか!」
 
 
片桐
「これでノープロブレムよ、さあ、一段落ついたら
 私の話しを聞いてもらうわ」
 
 

「ん?ああ、確か何か話しするとか言ってたな。
 まあいいや、聞くだけならただだし、
 何だよ話しって?
 
 
片桐
「実はね。貴方に絵を描いてもらいたいのよ」
 
 

「え?」
 
 
片桐
「そうよ」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
うーん、相変わらずなんてクレイジーな野郎だ。
小・中、そしてこのきらめき高校でも美術で
ロクな評価を貰った事の無い俺に絵を描けだと?
いい度胸してやがる、描いてやろうじゃないか。
 
 
 
 
 
 
 

「いや、まあ。噂の真相ならず色々と
 相談に乗ってもらった訳だし簡単なので良かったら描くけど
 俺、絵下手だぜ。」
 
 
片桐
「Thank You どうもありがとう。
 それじゃ紙と鉛筆を渡すからお願い。」
 
 
 
 
 
 
  
俺は片桐からメモ帳と鉛筆を受け取ると
花壇の周囲から適当な被写体を探し始めた
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「あ、鳥が大人しそうにしてるな、
あれ描いてみようか?」
 
 
片桐
「Freedom please」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
俺は返答の意味がよく解らないので
とりあえず絵を描き始めた
 
 
 
 
 
 
 

「………」
 
 
片桐
「………」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

30分経過
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「出来た!」
 
 
片桐
「どれ、見せて頂戴」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
片桐
「What!?何なのこれは?」
 
 

「だから鳥だっつってんだろ」
 
 
片桐
「………」
 
 

「(フッフッフッ…見たか、
 幼少時に親父に似顔絵を描いた際に両親から
 美的センスの将来性を見放された俺の絵を)」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

片桐
「素晴らしいわ」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「っえ? 」
 
 
片桐
「この微妙なタッチ…
 曲線、そして質感っ圧倒的な力強さ!」
 
 

「っちょ、おい…」
 
 
片桐
「あー!あたしの目に狂いは無かったのね!」
 
 

「いや、お前の目絶対おかしいって」
 
 
片桐
「そんなこと無いわ、私はこれを伝えたかったのよ、
 貴方の中にキラリと光る美術の可能性。
 そしてそれは今確信に変わったわ!」
 
 

「えーえー?」
 
 
片桐
「浩二君、私と一緒に未来のイラストレーターを目指しましょう」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

爆竹を噛ませて思いっきり頬をぶん殴ってやりたい気分だが、
とりあえず、こいつを抑えない事には話しにならん。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「理由が解らないのはいつもの事として、
 いやー、無理だって、俺絵下手だし
 何より好きな訳でもないし、パスしとくよ」
 
 
片桐
「ふっふっふっ…
 残念だけど解答の誘導権は私の方にあるのよ」
 
 

「は?」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
片桐が不敵な笑みと共に嫌な悪寒が
俺の中を駆け巡った
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
片桐
「貴方、ゆかりとの付き合いに距離を置きたいのよね」
 
 

「ゆかり?」
 
 
片桐
「貴方が気になる古式さんの事よ?」
 
 

「え?」
 
 
片桐
「彼女ね、私のとぉ〜っても仲の良いお友達なの。
 親友って言った方がいいのかしら」
 
 

「えっえっえっ!?」
 
 
片桐
「つまり、あたしの口添え次第で
 アンタと彼女の関係はどうにでもなるって訳よ!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

きらめき高校 裏校舎展示物 考える人(ロダン)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
俺 
「明日からよろしくお願いします先生」
 
 
片桐
「頑張りましょうね、浩二君♪」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
俺の学園生活は早くも波乱の一途を辿り始めた。


 
 

ナウオンステージ

  • Posted by: 連射太郎
  • 2006年11月30日 15:11

■1996年10月13日(金)


 
 
 
 
 
【科学部】

あの、あらゆる意味で思いで深い修学旅行から帰宅して早一ヶ月。
当然あの世紀の一戦の一部始終は僕と紐緒さんの二人の機密と言う事にして
いつもと変わらないサイエンスライフを過ごしている。
 
 
 
ただ、あの修学旅行の一件以来、
常日頃自主研究に没頭しきっていた紐緒さんが
最近は共同実験に顔を出す事も多くなり確実に変化を見せている。
まあ、それも単に紐緒さんの研究に必要なスペースが
大きくなったからやむなくという訳なのだが。
 
最近紐緒さんは何か砲台の様な鉄の塊の製鉄作業を行っており
「腕」や「足」を模ったパーツを別室の倉庫に持ち込んでは
巨大な何かをまるでプラモデルの様に組み立てているそうだ。

何を組み立てているのかは、
別の部員の噂話を小耳に挟んだだけなのでで詳しくは知らないが、
とてつもなく大きい物という事だけは確かな様だ。

何しろその物体のせいで倉庫近隣の3年C組近辺に日陰が出来、
授業の弊害になるからと教頭が紐緒さんに厳重注意をした程の物と聞く。
うーん、流石紐緒さんだ、あらゆる意味でスケールが大きい。
 
 
 
と、相変わらずの彼女のゴーイングマイウェイぶりに感心していたものの、
実はこのままでは非常に困るのだ。というのも今週末は文化祭、
我が科学部は一斑一演習として共同演習を行う決まりとなっており、
また、俺達の班の中でもとびきりの技術力を誇る
紐緒さんの力は何としてもその演習に必要な訳である。

という訳で俺は日頃お世話になってる
ワクワク、パーヤンの両先輩の顔を立てる為にも
意を決して背を向けて製鉄作業に励む紐緒さんに
文化祭の手伝いをお願いする事にした。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「ひ、紐緒さん」
 
 

紐緒
「………」

「シュゴオオォォォォォォォッ!」


(バーナーの音)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「紐緒さんっ!」
 
 
 
 
紐緒
「何よ?」
 (振り向き様にバーナーを向けて)
 
 
 
 
 


「わっ!紐緒さん火止めて、火っ!」

 
 
 
紐緒
「止めたわよ。何よ?」
 
 

「あ、あの…忙しい中悪いんだけど、
 実はお願い事があって…」
 
 
紐緒
「いいわよ」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
俺は彼女の思いがけない返答に面を食らい思わず声を上げた
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「えっ!?だって俺まだ何も言ってないよ?」
 
 
紐緒
「私は貴方の依頼を承知したと言ってるの。
 それとも貴方如きの願いを叶えられない程
 私の能力が不足だとも言うのかしら?」
 
 

「あ、ありがとう、それでお願いなんだけど、
 今週末文化祭があるじゃない、
 それで設計やアイディアは僕と先輩二人でやってあるから
 機械の組み立てとセッティングとかの仕上げをお願いしたいんだ」
 
 
紐緒
「文化祭?あ、そういえばそんな下らないものもあったわね。
 全く研究の邪魔になるイベントがあったものだわ」
 
 

「で、どうかな紐緒さん。やってくれるかい?」
 
 
紐緒
「貴方何か勘違いしてない?
 私は先に「いいわよ」と答えてるの」
 
 

「ありがとう。それにしても何故二つ返事を?」
 
 
紐緒
「貴方にはこの間の修学旅行で手伝ってもらったからね。
 あの一戦で貴重なレポートが取れたわ、
 その御礼というか貸しを返す為よ。」
 
 

「助かるよ、それじゃ設計図と
 アイディアのレポートを渡しておくよ」
 
 
紐緒
「何々…レーザーアートショー…
 ……あら、貴方にしては中々面白いじゃないの」
 
 

「そ、そう?いや、滅多に評価してもらえないから
 そう言われると嬉しいよ。」
 
 
紐緒
「成る程ね…使い方を変えれば
 ああいう風にも出来るわね」
 
 

「……」


 
 
 
 
 
一抹の不安は過ぎるものの紐緒さんは快く承諾してくれた、
これで文化祭の事はとりあえず何とかなりそうだ。


















そしてあっという間に文化祭の前日




















1996年 10月11日(金)
【校門】


ふぅ…今日も授業と部活の板挟みで凄い疲れた。
明日は文化祭もあるし、さっさと帰宅して休むとしよう。
 
 
 
 
 

紐緒
「あっ浩二君」
 
 
 
あら?紐緒さんだ?
そういえば頼んでおいた物は出来てるかな、聞いてみるか。
 
 
 
田中
「あ、紐緒さん、
 明日文化祭だけど頼んでおいた物は出来てる?」
 
 
紐緒
「そう、それを伝えにきたのよ、
 昨晩から時間を削って製作しておいて上げたわよ」
 
 
 
 
 
紐緒さんはそういうと両手に抱えた大きなボストンバッグから
ガシャガシャと俺が頼んでおいた物を取り出してきた
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「でかー………」
 
 
紐緒
「ふっふっふっ…どう?
 出力スイッチ【弱】で厚さ50cmの
 鉄板を貫通させる威力を持つ超高能力レーザー砲よ!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「うわぁ…」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
まずかった、彼女一人に製作を任した事自体がまずかった…
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「ひ、紐緒さん出来れば兵器じゃなくて
 その、装飾効果的なレーザーをお願いしたかったんだけど」
 
 
紐緒
「何よ!それなら始めからそう伝えなさい!
 全く紛らわしい」
 
 

「ごめんよ
 (この前レポート渡したじゃないか…)」
 
 
紐緒
「ふう、仕方ないわね。
 明日までに何とか仕上げるわ」



「頼むよ」


















そして遂に文化祭の日がやってきた




















1996年 10月12日(土)


昨日、帰宅前に紐緒さんに

その旨伝える事が出来たので、
平気だとは思うが…とりあえず早く出展場に向おう。


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
【出展場】


「あ、紐緒さん、おはよう。
 どう、頼んでおいといた物は作ってくれた?」
 
 
紐緒
「だから前提が間違ってるでしょ貴方は、
 私が規約を破る事はありえないのよ」
 
 

「ご、ごめんよ」
 
 
紐緒
「はい、出来たわよ。」
 
 

「あ、本当だ、サイズ的にも丁度良いね、
 出力の方は調整してくれた?」
 
 
紐緒
「ぬかりはないわ、安心なさい。
 素敵な光線を奏でてくれるから。」
 
 

「ありがとう、本当に助かったよ。」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
そして、間もなく我が班の出展時刻がやってきた。
舞台のセッティングや会場案内のアナウンスは
パーヤンとワクワク先輩に任せて、
機械の操作は紐緒さんにやってもらい
俺は横で彼女のアシスタントをする事にした
 
 
 
 
 

「…紐緒さん頼むよ」
 
 
紐緒
「任せなさい」



































































































「…………………」
 
 
ワクワク先輩
「…………………」
 
 
パーヤン先輩
「…………………」



























































紐緒
「美しいわ」





















「…………………」

ワクワク先輩
「…………………」

パーヤン先輩
「…………………」























































俺・パーヤン・ワクワク先輩
「...................(;゚Д゚)」








































そして文化祭は終りを告げた。

髭と未確認物体

  • Posted by: 連射太郎
  • 2006年9月11日 17:31

■1996年9月13日 金曜日
 

 
 
今日は2度目の自由行動。
 
昨日の団体行動だが薬の効用で激しい筋肉痛は抑えられたものの
やはり先日の急なビルドアップに体がついていけなかったらしく
その日一日は足腰が思う様にならなかったので
俺は担任に別な理由で事情を説明しホテルの一室で休養を取っていた。
そして、今日は無事に全快する事が出来た。

いや、それより前より体中に力がみなぎる感じすらするぞ、
これが人体の持つ「超回復」というメカニズムだろうか。
反動過程に不便があるとはいえ科学の力はやはり凄い。

俺がホテルのロビーで科学に対し偏った想いを馳せていると
目の前に紐緒さんが現れた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

紐緒
「おはよう、浩二君。さあ約束通り来たわ、出かけましょう。」
 


そう、今日は3日目の自由行動で紐緒さんとの同行を約束した日なのだ。
 
 
 
 
 
 
 

「おはよう、ところで今日はどこに行くんだい?」
 
 
紐緒
「髭(ヒゲ)よ」
 
 

「ひ…髭?」
 
 
紐緒
「そう、ほらさっさと出かけるわよ」
 
 
 
 
 
 
 
 
そして僕等はホテルを出て髭の前に出かけた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

【髭前】


 
 
 
 
 

 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「あちこちでモッサリしてるなぁ…」
 
 
紐緒
「ふん、随分大層なポーズを取ってるじゃない」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
紐緒さんは銅像のポーズが気に入らないのか、
大地を指差すクラーク像に向って腕を組み、
仁王立ちしながら睨みをきかせていた
 
 
俺は場の空気を和ます為に間を割って彼女に話しかけてみた
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

「ま、まあまあ…紐緒さん。
それより、Boys be ambitious 少年よ大志を抱け、良い言葉じゃないか。
一世一代の大物を目指す紐緒さんによく似合うよ」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
すると紐緒さんはキッとこっちを睨みつけ、
僕の言葉を理路整然と訂正し始めた
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
紐緒
「一緒にしないでほしいわね…私の目指すのは『野望』
そう…企てた私すらついていけなくなりうる大いなる計画と行動、
そしてそれにすがる幾千幾万の僕(しもべ)達」
 
 

「ひ、紐緒さん…」
 
 
 
 
 
 
 
うーん、悦に入ってるぞ…
別の意味で場を和ませてしまったのだろうか
 
 
 
 
 
 
 
 
紐緒
「そう…金でも名誉でもない…
皆が私の野望に慄きっ畏怖しっ称えっすがるのっ!
称えよ我が身を!私こそが新世界の王となる者よ!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
参ったなあ、いつにも増して重症だ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


「ひ、紐緒さん」
 
 
紐緒
「浩二君その時、貴方は私の傍に置いて上げるわ」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ドキッ
 
 
 
 
 
お、おおっ何だこの展開は
ママレードボーイみたいになってきたぞ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「ひ、紐緒さん、それって…?」
 
 
紐緒
「私に仕え生涯、糧となるわね」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
くぅ…
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「嫌です」
 
 
紐緒
「貴方、自己中心な人って嫌われるのよ」
 
 
 
 
 
 
 
それをそっくり彼女に返してやりたい気持ちで一杯だったが、
まあ、彼女なりの愛情表現なのだろうか、俺は堪えてみた
 
 
 
 
 
 
 
 

「気をつけるよ」
 
 
 
 
 
 
 
と、僕らが髭の前で話していると、
柵を越えた羊が一匹、目の前に現れた。
 
 
 
 
 
 
 
 

「メン゛エ゛ェ〜〜〜」
 
 
 
 
 
 
 

「あ、ウールだよ、紐緒さん」
 
 
紐緒
「……」
 
 
 
 
 
 
 
紐緒さんは羊に気付くなり奴の方をじっと凝視し始めた。
 
 
 
 
 
 
 
 

「どうしたの紐緒さん?」
 
 
紐緒
「そういえば、原型はこんな感じだったかしら…?」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


「メェエ゛ーーーーーー!!!」


 
 
 
 
 
 
 
羊は紐緒さんの異様なオーラに気付いたのか一目散に逃げ帰っていった














「ひ、紐緒さん…?」
 
 
紐緒
「あら、嫌だわ。違うのよ、ちょっと
 研究用に牧場から仕入れた1頭を研究してたら
 呼吸器官や足が増えちゃって」
 
 
 
 
 
 
 
彼女の性格はつかめてきたものの、
相変わらず何を生み出そうとしているかはさっぱりである、
うーん未知の生物…

そうだ、野生の力はねじ伏せたが、
今度はもう一つの敵について聞いておかねば。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「紐緒さん、そういえば野生の力には勝利したけど、
 もう一つ言ってた未知の生物ってあれは一体なんなんだい?」
 
 
紐緒
「ふっ、よく聞いてくれたわね。
 そう、奴等こそ愚かにも科学の分析力の外で
 人々を脅かす大いなる敵よ。」
 
 

「そ、それは一体なんなんだい?」
 
 
 
 
 
 
 
そう聞いた直後、
彼女の顔がキッと険しくなったのが見て取れた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

紐緒
「今日の夜、ロビーに来なさい。」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
俺の答えは決まっていた
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「喜んで行くよ」
 
 
紐緒
「今度の敵は手強いわよ、
 貴方の常識の外に居るかもしれない」
 
 

「信じてるよ」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
すると紐緒さんの表情はパッと明るくなり、
それでこそ私の下僕よと褒めてんだかけなしてんだか
解らない言葉をかけてくれた。
 
 
 
 
ああ、健全な高校生の修学旅行中、
俺達は北海道の一角で何を決意してるのだろうか…













そして、日も暮れ本日5日目の深夜、
俺は部屋をこっそり抜けるとロビーで紐緒さんを待っていた。
 
 
 
 
そして待つ事数分、約束通り紐緒さんがロビーに現れた
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

紐緒
「探したわよ浩二君、さてこれから調査に出かけるわ」
 
 
 
 
 
 
 
 
彼女は以外な言葉を口にした。
調査か…一体何を。
 
 
 
 
 
 
 
 



「調査ってどこに行くんだい?」
 
 
 
 
 
 

紐緒
「ホテルのそばの農場にいい研究テーマがあったのよ」
 
 

「なる程…そこに奴が居るんだね」


彼女は口元をニヤリと緩ませると頷いて見せた。
そして俺達はホテルを抜け敵地に向けて歩き始めた。













【ホテル近く農場】


ここはホテル近く深夜の畑。
辺りをよく見渡すと一定ラインで田畑が荒れており
離れて見ると模様の様にも見えてくる。

風邪は強く草木が揺れて唸り声を上げている割に虫や動物の鳴き声は一切無く、
どこか不思議な空気が漂っていた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
俺 
「紐緒さんここは一体?
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
彼女は周囲を警戒しながら信じられない一言を口にした
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

紐緒
「ここがミステリーサークルね、私が解明してみせるわ」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ミ…ミステリーサークルっ
するとまさか
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「ひっ 紐緒さん!まさか敵っていうのは…?」
 
 
紐緒
「慌てるんじゃないの。
 私が解析したいのはあくまでこの不自然な円陣よ、
 愚かなオカルト主義者達の誤説を根底から否定する為に
 これは人工による物というのを解明する為に調査するの」
 
 

「あっ…そ、そうだよね。」
 
 
 
 
 
 
 

紐緒
「ほらっ突っ立ってないでまずは調査よ調査。
真ん中辺りから調べて頂戴」
 
 

「うん、解ったよ」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
と、俺が返事をしたその時だった、
空から眩いばかりの閃光が降り注ぎ
俺は目を細めながらもその光の先にある上空を確認すると
そこには見た事も無い形の航空機が高速で点滅しながら
まるで虫の様に不規則な動きで飛び回っていた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 

「ひっ…紐緒さん!?
 あれは口には出したくないけどまさかUFOじゃ!!!」
 
 
紐緒
「馬鹿を言わないで!
 この世に未確認飛行物体など存在する筈がないでしょうっ
 私が化けの皮を剥がしてくれるわ!」
 
 

「ひ、紐緒さん!こっちに飛んでくるよ!」


紐緒
「浩二君っ腕を貸しなさい!」
 
 

「はいっ!」
 
 
 
 
 
 
 
俺は先日の熊との対決の時と同じ様に彼女に腕を捲って針を刺させた
 
 
 
 
 
 
 
 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」













俺は腹の底から盛り上がる異常な力を抑える為に
強烈な絶叫を上げ気を落ち着けた。



























そして円盤から降りてきたのは今までに俺が見た事も無い生物だった。
色は白く、身体の表面は遠目からも解る程ヌメヌメと湿っている。
目には白目が無く、何か機械のビープ音の様な高周波を
口から発しながら我々に指を向けていた。
 
 
 
 
 
 
 
俺は紐緒さんの方をチラりと見て合図を送ると
次に絶叫を張り上げ戦いのノロシを上げた














再生ボタンで田中の絶叫の模様が見れます














紐緒
「浩二君っ私が奴らを叩きのめす兵器を作るから
それまで貴方は時間稼ぎをしなさい!」
 
 

「解ったよ」













そういって俺は奴にかかっていったが、
その後、奴が僕の目をキッと睨み付けるなり
俺に向けられた指から強烈な光線が放てられ、
俺はその光に縛られて身体を宙に持ってかれた直後
大地にその身を叩きつけられてしまった














 
 
 
 
 

 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 

「ドゴォーン!」


























紐緒
「浩二君っ!」













紐緒さんは手に持ったスパナを落とすと俺の方に駆け寄り、
俺を肩に抱え込んで奴等の方を睨みこう一喝した














紐緒
「今日の所は見逃して上げるけど次こそは覚えてなさい!私こそ近い将来この地球を治める未来の王っ紐緒結奈よ!」














そして彼女のその声を聞くと
俺の視界は徐々に暗闇に覆われていった


























・・













・・・・・・

























気付くとそこはホテルのロビーだった
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
紐緒
「目が覚めたのかしら?」
 
 

「あっ?紐緒さん、俺は一体…」
 
 
 
 
 
 
 
 
俺がまだ状況を理解しきれないでいると、
彼女は複雑な表情でこう言った
 
 
 
 
 
 
 

紐緒
「貴方のせいで負けたじゃないの」
 
 
 
 
 


「ご、ごめん…」
 
 
 
 
 

紐緒
「まあ、いいわ。次こそは必ず勝つわよ」
 
 
 

「ああ、解っているよ」
 
 
紐緒
「いいわね」
 
 

「うん」
 
 
 
 
 
 
 
そう、次こそは必ず…
 
 
 
 
 
 
 
 
そして僕等の北海道での戦いは静かに幕を閉じた。

そういえば目を覚ました時、
険しかった紐緒さんの顔が少し和らいだ様な気がしたけど気のせいかな。

ミラクルファイト

  • Posted by: 連射太郎
  • 2006年8月30日 16:57

1996年9月11日
 
 

 
 
 
観光で忙しない一日目と拘束時間のやたら長い2日目の団体行動を終え、
晴れて今日は自由行動の日である。

と、誰を誘おうか…うーん、
2年生になってからというものの部活動に集中して
同級生とはロクに遊んで無かったからなあ…
 
ここは一つ、団体行動の同班でもあり、
唯一1年からの級友である好雄と行動を共にしようと思い奴を誘う事にした
 
 
すると
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
好雄
「あぁ、いいぜ。だけど俺今日別のクラスの奴と
約束してるんだよ。良かったらお前も来るか?」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
と、二つ返事で答えが返ってきた。
 
 
 
 
うーん、相変わらず社交性に長けた男だ(他はからっきしだが)

と、珍しく好雄を見直しながら
俺は奴の後についてその約束相手とやらの観光に同行する事にした。
別のクラスの友人か、ま、適当に合わせていれば何とかなるだろう。
俺と早速好雄と共にロビーに向った
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
???
「おーい早乙女くーん!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ん、この耳にベトつく野太い濁声は…
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
好雄
「ようっ穴吹っおはよう!」
 
 

「…」
 
 
 
 
 
 
 

「おはよう」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

うわぁ…


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
そこに居たマルコメは忘れもしない、
昨日阿寒湖で青ざめた顔をしていたストロボ(穴吹)だった。
 
あの事件があってからというもの俺のこいつに対する印象は最悪である。
クラスメート時代も何とかしてケツを掘られまいと避けてきて、
ようやく2年になると別なクラスになり
もう会う事もあるまいと安心してはいたが、
あろう事か、こんな形で再開するとは…
 
 
それにしても
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
…なんて格好してやがる
 
 
 
 
 
 
好雄
「どーしたんだ浩二、
早く行こうぜ?」
 
 
穴吹
「あ、田中君も一緒に来るのかい?」
 
 

「い、いや…俺、
急用思い出してさ、悪いな好雄」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
好雄
「なんだー?そうなら先言っとけよな、
行こうぜ、雄誤」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
穴吹
「うん、それじゃあ田中君」
 
 

「あ、ああ…」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
いやあ、参った…まさか好雄と穴吹がまだ付き合っていたとは…
他人の人脈ってのは深いもんだ。
 
 
 
 
俺はそう感心しつつ、
これからの自由行動の問題が残されてる事に気付いた。
うーん、観光地にまで来て一人で名所巡りってのも虚しいなあ…
しょうがない、土産探しがてらデパートにでも入って余った時間はブラブラするか

と、高校2年の修学旅行とは思えない
非常にネガティブなブラリ旅を企てていると、
後ろから聞きなれた声が俺の背中を呼び止めた
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

紐緒
「浩二君、私に挨拶も無いのね」
 
 
 
 
 
 
 
あ、紐緒さんだ、どうしたんだ一体
 
 
 
 
 
 
 

「あ、おはよう紐緒さん。
どうしたんだい、紐緒さん別クラスなのに」
 
 
 
 
 
 
 

紐緒
「貴方、もしかして一人なの?」
 
 
 
 
 
 
 

「え、そうだけど。どうしたんだい?やぶからぼうに」
 
 
 
 
 
 
 

紐緒
「危険よ…危険だわ!
私が一緒についていって上げる」
 
 
 
 
 
 
 

ん、なんだ!?
予想外に有難い事ではあるが相変わらず理由が解らんぞ、
とりあえず反感食らうと怖いので黙って従うとするか
 
 
 
 
 
 
 
 

「あ、ありがとう。助かるよ…」
 
 
 
 
 
 
 

紐緒
「当然ね、それじゃ行きましょう」
 
 
 

「どこに行くんだい?」
 
 
紐緒
「いいから私について来なさい」
 
 

「はい。」
 
 
 
 
 
 
 
という訳で、相変わらずのペースで俺は紐緒さんに連れ去られた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

【時計台】


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


「でかいねぇ」
 
 
紐緒
「目立つ場所に時計があるのは便利ね」
 
 

「学校か何かでも昔から使われてる手法だよね。
合理的だね」
 
 
紐緒
「さっさとデジタルにすればいいのに」
 
 

「そ、そうすると文化的価値が薄れるんじゃない…」
 
 
紐緒
「ふん、伝統主義ね。科学の敵よ」
 
 

「そ、そうかもしれないね」
 
 
 
 
 

紐緒
「その内、私の目覚まし時計にしてくれるわ」
 
 

「あ、それは便利だねぇ」
 
 
紐緒
「ほほほほほ!」
 
 

「ははは」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
と、俺等は観光に来てる周りの人間から冷ややかな視線を感じながらも、
時計台の内部見学等もさせてもらいそれなりに楽しんだ。
 
 
 
 
 
 
 
紐緒
「ふう…陳腐な構造の建物ね、
私だったら3日でこれ以上の建物に仕上げられるわ」
 
 

「流石だねぇ」
 
 
紐緒
「北陸を拠点にして発射基地を設ければ
他国への牽制になるわね…」
 
 

「紐緒さん!?」
 
 
 
 
 
 
 
俺は彼女のただならぬ眼力に脅え
思わず大声を出し彼女を現実の世界に引き戻した
 
 
 
 
 
 
 
紐緒
「あっ ひ、独り言よ。
気にしないでいいわ」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
明らかに本気を感じさせたが
下手に深入りしてとばっちりを食らうと怖いので黙っておこう
 
 
 
 
 
 
 
そうだ、あのロビーで言ってた「危険」について聞いておくか
 
 
 
 
 
 
 

「紐緒さん?」
 
 
紐緒
「なっ何よ!?
 時計台の地下に巨大誘導騨の発射基地とコントロール室を
 設立すれば他国の住民全てを統治下におけるとか目論んでないわよ!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
こ、この人は…
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


「い、いや、それは思ってないんだけど。
ほら、今日声をかけてくれた時に「危険」って言ってたじゃない。
あれの意味が解らなくて、もしよければ教えてくれないかな」
 
 
紐緒
「ふう、馬鹿ね貴方、
 北陸には敵が沢山居るのよ…」
 
 

「敵?」
 
 
紐緒
「そう、敵よ。人の肉体では遠く及ばない猛獣や、
 得体の知れない非科学的生物」
 
 

「猛獣や非科学生物!?な、なんだいそれは!」

俺は彼女のその言葉に興奮し、
思わず声を荒げてしまった。

すると彼女は信じられない一言を口にした
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

再生ボタンで紐緒さんと田中の会話の模様が見れます


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「くっ熊と!?危険って熊!?
 つーかどうやった戦うんだよ紐緒さんっ」
 
 
紐緒
「ふっ、馬鹿ね、科学の力が何の為にあると思っているの、
 浩二君。」
 
 

「はっ!」
 
 
 
 
 
俺の脳に閃光の様なインスピレーションが過ぎった
 
 
 
 
 
 
 
俺「そ、そうか紐緒さん。
君は科学と自然を闘わせるんだね!」
 
 
紐緒
「そう、そして科学者は常に自然や野生と敵対関係にあるの、
半人前とはいえ科学者の端くれである貴方が狙われるのもまた運命」
 
 

「そんなボクを守ってくれようと…」
 
 
紐緒
「ようやく私の偉大さが理解出来てきたようね…」
 
 

「ありがとう紐緒さん…」
 
 
 
 
 
 
 
俺が感情に振り回され感激してると、
彼女は畳み掛ける様に誘いをかけてきた。
 
 
 
 
 
 
 
紐緒
「浩二君、明後日も一緒に行って上げるわ。
きっと奴はくる筈よ」
 
 

「うんっありがとう!」
 
 
 
 
 
 
 
そして、明後日の自由行動の約束もして
俺と紐緒さんは分かれようとした、その時である
 
 
 
 
 

「ぐわぉほぅー!」

         

俺「やっ野生だ!」






紐緒
「くっ…!どうやら予定より表れるのが少し早かったわね…
 浩二君腕を貸しなさい!」


「えっえっ腕って!?」

紐緒
「いいからっ!さっさと腕を巻くって私に任せなさい!」


「はっはい!」









俺は彼女に一括されると腕を捲り彼女のなすがままにした

すると彼女はポケットから黄土色の液体が入った太い注射器を取り出し
俺の腕にぶっとい針を躊躇無くさしてみせた


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
その針が俺の血管を刺した瞬間、
俺の全身に稲妻の様な衝撃が走ったのを感じた
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
そして興奮とも快楽ともつかない感情であの熊に対決を挑んだ、
幸い紐緒さんが熊との対決場所を誘導してくれた為、
他の観光客にその惨劇が目に付く事はなかった。

闘いの結果は
 

 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
科学の力が勝ったのだ。

この力さえあれば彼女がいう野生の他に忍ぶ得体の知れない生物、
また、俺を追い詰めたあいつらに報復を…
 
 
 
 
 
 
 
その後、俺と紐緒さんは時計台に戻り
二日後の再開を約束した
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

紐緒
「ちなみに今日の事は私と貴方の秘密よ。
 それじゃ明後日の自由行動、ロビーで待ってなさい」
 
 

「ああ、紐緒さん楽しみにしてるよ、
 ちなみにこのビルドアップ効果っていつ消えるの?」
 
 
 
 
 
俺はTシャツからはちきれんばかりの筋骨隆々の
胸板をパンパン叩きながら彼女に薬の期限について聞いた
 
 
 
 
 
紐緒
「1〜2時間って所ね。先ほどの活動量でかなりの体力を
 消耗してると思うから、もうすぐ効き目は切れると思うわよ」
 
 
俺「そうか、良かった…
 流石にこの体じゃホテルに帰れないからね」
 
 
紐緒
「ただしっ」
 
 

「ん、なんだい?」
 
 
紐緒
「急激なビルドアップの反動で、
 今晩と明日に凄まじい筋肉痛が貴方を襲う筈よ。」
 
 

「えっええー!?マズいよそれじゃっ
 団体行動出来ないじゃんっ」
 
 
紐緒
「慌てるんじゃないわよ、これを上げるわ。
 いいこと、今日食後と朝起きてから2錠ずつ水で飲みなさい」
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 

「ん、このカプセルは何?」
 
 
紐緒
「鎮痛剤、及び、精神安定剤よ。
 強力だから服用量は間違えない様にね」
 
 

「こ、この薬に副作用は…?」
 
 
紐緒
「無いわよ。安心しなさい」
 
 

「ほっ…」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
そして俺と紐緒さんの北海道修学旅行、激動の日が始まりを告げた。

Don,t ぽってぃ

  • Posted by: 連射太郎
  • 2006年8月13日 15:52

■1996年9月10日

いよいよ、北海道に到着し、
修学旅行の初日が幕を切った。
 
 
 
 修学旅行のスケジュールは
 
 
 ■ 一日目 釧路→摩周湖→阿寒湖→網走→ 
       団体行動→網走の旅館に停泊

 ■ 二日目 網走→旭川→札幌 団体行動→札幌の旅館に宿泊

 ■ 三日目 札幌→自由行動→旅館に戻る

 ■ 四日目 札幌→富良野→札幌 団体行動→旅館に戻る

 ■ 五日目 札幌→自由行動→旅館に戻る

 ■ 六日目 札幌→自由行動→東京→帰宅


という感じで設定されている
 
 
 
 
 
 
また、旅行中の行動は大きく分けて「団体」「自由」の2項目

「団体行動」中はバスで目的地まで移動し
その後、クラスの担任が選定した男女3人ずつのグループ単位で行動し、
予め決められた場所を巡回。
 
 
「自由行動」ではクラス関係の垣根を越えて友好関係のある生徒を自由に誘いあい、
札幌のホテルを始点としてそこから好きに動き回る事が許されている。
 
 
旅行初日は移動先の網走の旅館に泊まり、
その後2日目に札幌の旅館に着くまでは宿泊先が固定されないので
実質、3日目までは単独行動が許されない状況で忙しない事この上ない。
 
 
さて、本日、旅行初日であるが先ず北海道空港に到着後バスに乗車、
その後、巡回路である釧路→摩周湖→阿寒湖→網走を
同班の好雄、美津島と巡る予定である。

肝心の女子グループ連中「三宅」「権田」「望月」の3人だが
あんた達と居てもツマンナイからというフザけた理由でボイコットを起こし、
団体行動中、教師のチェックが入る5分だけ集まりそれ以外は男子・女子とで別行動。
女子は別グループの芳田米作、木本久博、小村隆也の
3人が居るグループに混ざる事になった。

芳田等3人はその美貌から女子連中にやたら人気があり、
その為、クラスの女子連中の大半が彼等の元に訪れる様子は
さながら自然現象のハーレムといった具合である。
 
 
 
むぅ…
原住民や少数民族はこうして滅びていったんだろうなあ…
と、我々を含むその他男子グループに思いを馳せつつ
俺と好雄、美津島の修学旅行初日か始まった
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

【釧路】

まず、釧路にて「漁業市場」を見学

非常に生臭い。

正に商品管理といった具合にきっちり箱詰めにて整備されてる魚連中を見ると
人は自然を材料に生きてるんだなあ、と、
しみじみ海の恩恵を感じ感慨深いものがあった。
 
また、魚の入った木箱にそれぞれサイズの表記らしく
「大」「小」「中」の3サイズ他、「大中」「中小」等、細かく表記があるのだが、
「小大」等のサイズは、箱についてる模様で「小犬」と
書かれてる様に見える物が複数あり何ともシュールな光景だった。
 
 
 
 
 
更にここに来るまで殆ど何も喋らなかった美津島が
箱詰めされた無数の魚を見るなり
 
 
「ギョギョッ!」
 
 
と、わざとらしいボケを何度も繰り返していたのだが、
俺も好雄も彼を傷つける事になると悪いと思い
あえてそのスタンドプレイを交わしつつ魚見学を続けた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

そして、次に向うは「摩周湖」。摩周湖では近くの広い展望台から静寂に広がる広大な湖と、
色彩豊かな山々を見たりして3人で自然をゆったりエンジョイ出来た。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

【阿寒湖】


 
その後、「阿寒湖」周辺の観光ショップに立ち寄り、
研究材料になるだろうとマリモを3瓶程購入した。
他にも思ったより色々な種類の店があり3人で物色しながら買物を楽しむ事が出来た。

女子は相変わらず芳田グループの元を訪れてる為、
我々男子は別班状態となり担任が集合をかけるまでは蚊帳の外である。
 
 
 
それと、余談ではあるが別クラスの誰かが観光ショップの店員と喧嘩になったとかの騒ぎで
一時ショップ近辺が騒然としていた。
 
そういえば、2年になり別クラスになった穴吹の青ざめた姿も見かけたけど、
あれあいつのクラスだったのかなあ…何にせよいざこざはゴメンと
俺はヤジウマに混ざり距離を一定に保ちつつその様子を恐る恐る眺めていた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

【網走】


 

そして旅行2日目。
今日は網走の旅館を出発し近隣にある観光名所の王道
「博物館、網走監獄」を見学する予定だ。
 
 
 

 
 
 
博物館に着いて早々案内係のおっさんが
 
 
「はい、こんにちわー皆さん、
 ここでは、素行の悪い子は本当にぶち込まれますので
 しっかりオジさんの言う事聞いて下さいね」
 
 
と、パンチのあるボケをかまし
我々生徒連中の心をグッと掴んだ後も、
 
 
 
「囚人の労働時間は1日11時間」

「使用可能な給料は手に入る給料の約5分の1」

「基本は檻の中で生活し、
 その間名前は捨て番号で管理される」
 
 
等々
 
 
「オジさんも昔はよく臭い飯を食ったもんさー」
 
 
等と、本気か冗談かよく解らないスリリングなブラックジョークを展開し
生徒達の心をガッチリ掴んでいた、只者ではない。
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 

 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
そして、多少ネガティブな気分で網走を後にし次に旭川に向った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
【旭川】

ここではラーメン村に移動しグループで決めた好きな店に入り、
昼食を兼ねてラーメンを食事にする事が出来る。
 
女子連中は相変わらず木本のグループに行ってしまって居なかったので、
美津島、好雄と相談した結果3人一致で「味噌がいい」という事で
味噌ラーメンが美味そうな元祖・旭川ラーメンに入り本場の味噌ラーメンを堪能した。


 
コッテリしてるんだけど、後味はスッキリで麺に透明感があり喉ごしはツルって入ってくる。
非常に満足感のある食事だった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
【札幌】
 
そして、その後、札幌の宿泊地に移動し北海道旅行の2日目が無事終了した。
班人数を半分削られて男子校状態である事以外は順風満帆であり屈辱的でもある。
 
 
いよいよ、明日からは自由行動だ。
うーん、そういや無計画だったな、どうしたもんだろうか。
 

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