- 2006年5月 2日 15:54
■1996年 1月11日
今日は元旦。俺が6歳になってから毎年元旦3ヶ日は
強制的に留守番にされ両親が代わりに親戚周りをしてくるという事になっている、
他兄弟も同様である。
そして、両親は毎年その親戚周りからの帰宅の際、何故か
「お年玉は浩二の将来設計の為に貯金して上げてるからね」
と、言いながら、子供にお年玉を渡さず
空の袋の束だけを渡すという不可解な行動をしておるのだが、
俺は「ゆうちょ」にも「銀行」にも自分の口座を開設していない。
更に母は親戚周りから帰った週末、
決まってデパートへと俺を誘い「5千円〜1万円」
という非常に微妙な予算範囲内で俺達兄弟に
「好きな物を買いなさい」と日頃の過剰節約家(ケチ)を
感じさせない太っ腹さを見せるのだ。
まあ、要するにピンハネで息子の年一回のボーナスを掠め取るという暴挙に出ている訳で、
そんな事ばかり思いつめて一人家に閉じこもっていても仕方が無い訳だ。
3日間の大切なプライベート元日、
留守番代(兼お年玉)として支給された5000円を利用して何をするかが問題だ。
そうだな、冬休みに部活から出た課題「モルモットの観察レポート」について
解らない所があるし、紐緒さんに電話して聞くかな。
俺
「あ、紐緒さん?」
紐緒
「どなたかしら?」
俺
「俺だよ、田中だよ」
紐緒
「貴方私をナメてるの。
そんな模範的な名の人間思い当たるだけで5人居るわ。
特定出来る方法で名乗り出なさい」
なるほど、そういえばこの人はいつも他人の名を呼ばず
「貴方」「君」「そこの!」等と指を指して命令する人だったな。
つまりは俺の事をそういう事をしている姿容姿としてしか捉えてないと。
ようし、それならば
俺
「俺だよ、この前実験中に重要薬剤の入った試験管を割って
紐緒さんに手元にあったフラスコでボコボコにされた田中だよ」
紐緒
「ああ、浩二君ね」
おお、良かった!
思い出してもらえたぞ、
それじゃ早速
俺
「紐緒さん、実は俺
今から初詣に行こうと思うんだけど」
紐緒
「いいんじゃない、行ってらっしゃい」
「ブツッ… ツーツーツー…」
あー、そうだ。彼女に用件を繰り出す時にはまず
結論から言わないと話を切り上げられるんだった…
うーん、参ったな…
仕方ないから一人でオミクジだけでも引きにいくか。
末吉かあ…