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ホワイトカラー

  • Posted by: 連射太郎
  • 2006年4月20日 15:35

■1995-12-24

95_12-24_kyouha.jpg


今日はクリスマス。
自分みたいな者にはこれといって縁の無い恋人達の為り聖夜祭だが
クラスメートの伊集院の自宅にてパーティーが開かれるとの招待状を受け
特に予定も無かった俺は招かれる事にした。
 
 
 
 
 
そしてここは伊集院宅前。
有名な財閥の息子って事で噂を聞いていたが、
まさかここまでとは。
 
門構えの広さだけで俺ん家が丸々入るんじゃないかってデカさである。
少し時間に遅れたせいか既に扉が半分以上閉まっていたが、
それでも元のデカさが異常なので人5〜6人なら十分入れるスペースなので
俺は悠々門を通り伊集院家に来宅を試みた。

が、庭園に一歩足を踏み入れた瞬間、
俺の腕に「ガブッ!」という鈍い音と共に強烈な痛みが走り、
低い唸り声が耳元に聞こえてきた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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「ガゥルルル…」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

俺「狼が出たぞー!」

俺は童話に出てくる少年の様な悲鳴を上げ
その日本の住宅地に居るとは思えない様な
獰猛な野獣から逃げようとしたが、
次の瞬間狼はするりと俺の腕から離れ
そのままグッタリと死んだ様に横たわってしまった。
 
 
 
狐につまれた様な表情で
俺が腰を抜かしたままその様子を不思議がっていると、
背後に立つ大きな人影が目に入り
俺は振り向いてその姿を確認した。

そこには銃を手に持った
パンクロックみたいな髪型をした
黒服の大男が立っていた。
 
 
 

俺「ひいっ!」


 
 
 
 
 
思わず情けない声を上げると
その大男は穏やかな口調で俺に話しかけてきた。

黒服の大男
「申し訳ございません、
既にパーティーの開催時刻は過ぎていたものですから。
うちの番犬を放し見張りをしていたところでございます。
麻酔銃で一時的に眠らせたのでご安心下さい。」
 
 

「えっ?あ、いやあ…こちらこそ遅れてしまったみたいですいません。
どなたですか?」
 
 
黒服の大男
「私、当屋敷の使用人、外井でございます。
どうぞお見知りおきを」
 
 

「あ、そうですか伊集院家の…いやあビックリした。」
 
 
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外井
「レイ様のお知り合いでいらっしゃいますか?」
 
 

「はい、クラスメートの田中って言います。
先日パーティーの招待状を貰ったのでこちらに上がりました」
 
 
外井
「これはこれは、大変失礼いたしました、
式場はこちらですのでご案内いたします。」
 
 
 
 
 
そして俺は使用人の外井さんに案内され
屋敷奥の式場まで向った。
 
 
 
 
 

「いやー、それにしても本当に広いですねぇ
このお屋敷。」
 
 
外井
「伊集院家は代々日本が世界に誇る一大コンツェルン。

この屋敷は日ごろ海外を飛び回り自宅に帰宅するのが難しいダンナ様が
レイ様の為にご用意した通学用の別荘でございます。」
 
 

「べ、別荘…」
 
 
外井
「はい、レイ様の通学経路にとって一番安全かつ、
快適なスクールゾーンを考慮した場所に建てられた
一流のデザイナーと建築士による傑作品でございます。
高校卒業後は廃棄されるとの事ですが。」
 
 

「(使い捨て豪邸って初めて聞いたぞ…)」
 
 
 
そして外井さんと雑談をしながら
奥の式場につくと俺はその場所に何人か顔見知りを見つけた
 
 
 
 
 

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「あー、穴吹も来てるじゃないか。」
 
 
 
奥の式場に何故か顔を真っ青にした
今にも自殺しそうな表情の穴吹を発見した。
にしても何て格好してんだろう。

毛玉だらけのニット帽、
冬なのにタンクトップ、
両腕にミサンガを無数につけ、
裾上げをしくじったデニム。
よく見たらタンクトップのロゴがPUMAじゃなくて
PAMAになってるじゃないか。

こんな格式高そうなパーティーなのに
あの格好でよく入れたなあ…。
 
 
と、別な意味でインパクトのある
穴吹から目をそらすと
何とそこには紐緒さんが居た。
 
 
 
 
 
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「あ、紐緒さんも来てたんだね。」
 
 
紐緒
「あら、浩二君じゃない。貴方も暇なのね」
 
 

「そりゃないよ、自分だってここに居る癖に」
 
 
紐緒
「あなたと一緒にしないでほしいわね、
私は個人的に伊集院君に用があってここに来てるのよ」
 
 

「伊集院に?」
 
 
紐緒
「彼個人というよりは、彼の組織とも言うべきかしら。
まあ、あまり深くは詮索しない事ね。」
 
 

「わ、解ったよ…」
 
 
紐緒
「それじゃあ。私は忙しいからそろそろ行くわね」

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そして紐緒さんと別れた後、
俺はプレゼント交換の会場へと足を進めたが
手に入れたのは何故かアルバムビッシリに
敷き詰められた伊集院のプロマイド集だった。

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「…」
 
 
 
 
 

噛まれた腕が痛いなあ…

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