- 2006年3月17日 15:06
■1995年 10月15日
科学部に入部して始めの一週間。
文化祭まで後2週間を切っており何かと活動に忙しい時期ではあるが
入りたての部活動でそこまで考える余裕は今の俺には無い。
部活動1日目、俺はパーヤンとワクワクさんの先輩二人に
手取り足取り実験のイロハを教えてもらった。
先輩二人は思いの他、教え方が上手で
俺は1日目にして機材の扱い方、薬剤調合のコツ等、
基本的な事は一通りマスターする事が出来た。
さて、当の目的である紐緒さんであるが
同じグループで部活動をしているものの
部長に言われた研究テーマを全て無視し
ノートに向かってブツブツ独り言を言いながら
書き込みをし続けているかと思えば、
急に机を「ダン!」と叩き
「見えたわ!!!α Ω+3Wよ!」
等と宜保愛子ばりの突発的な発作を起こし
急に僕等グループ仲間を指差し
紐緒
「何ボサっとしてるの!
フラスコとエタノール液それと電球を2個っ
そして+−ドライバーを用意しなさい!
単一電池を5本よ!」
と叫び、鬼の形相でこちらを睨みつけ
紐緒
「何してるの!さっさとして頂戴!」
と、ヒステリックに研究材料を催促してきた。
この異常事態にパーヤンとワクワク先輩の二人は特に驚く様子も無く、
慣れた様子で紐緒さんの提示した材料を用意しに散った。
仕方ないので自分も紐緒さんに言われるがまま材料を探しにいった。
そして材料を集め机に置くと、
紐緒さんは不気味な笑みを浮かべながら
ポケットから複雑な形をした金属部品を
次々と取り出し特殊工具を使い組み立てていった。
その間、実に10分程。彼女は驚くべきスピードで
ラジコンについてるリモコンの様な形をした機械と、
せみ程の大きさの虫型ロボットを作り上げてしまった。
俺「ひ、紐緒さん…これは一体」
紐緒
「ふっふっふっ…これぞ低予算かつ、
最小限の材料で構成された超高性能スパイ衛星ロボ、
《ムシケラー1号》よ!」
わくわく&パーヤン先輩
「お〜!」
俺
「しかし、これどうやって使うの?」
紐緒
「簡単な事よ、まずこのロボのスイッチをボタンでONにする。
起動確認が出来たらこのロボの視線レンズから見えた映像情報が
手元のコントローラの液晶に映像として表示されるわ。
まあ、遠隔操作に慣れるには多少時間がかかるかけど
ゲーム感覚で出来ると思うわ」
たった数時間の研究の間にこんな高性能メカの構成を…
一体彼女の頭はどうなってるんだろう
と、彼女は淡々とその機械の構図を説明すると
理数系らしい態度で論より証拠といった具合に
そのメカのボタンをボャッキーよろしくポチっとしてみせた。
すると横に置かれたムシケラーが金属質な音を立てて羽ばたき
実験室の窓から外に飛び出していった
パーヤン
「凄いわー!本当に飛んじゃったのね!」
パーヤン先輩が驚いていると、
俺はその虫ロボが捉えた映像が気になり
コントローラーに表示された映像を覗かせてもらった。
俺
「紐緒さんちょっと覗かせてもらうよ」
紐緒
「あら、ズウズウしいわね。
まあいいでしょう。手伝ってもらった御礼よ、
少しだけ見ていいわ」
覗いた液晶モニタの中には何と
帰宅途中の穴吹が映っていた。
何やら足元に落ちている
雑誌をじーっと見つめながら
股間を押さえている様だ。
こいつは本当に何を考えているのだろうか。
何はともあれ紐緒さんの才能は本当に素晴らしい。
彼女なら本当に僕の体を任せられるかもしれない。
いつか告白出来る日まで彼女と先輩方との
サイエンスライフを楽しもう。
授業なんてやってられないねこりゃ。