ぐぅたらウィークリー

■1995年　4月30日(日)

今日は緑の日。
まだ耳の具合が思わしくないので、
俺は休日の2日を雑誌を読む等してダラダラと過ごす事にした。

昼下がりの午後、
母親に呼ばれ居間で昼食の焼きそばを食べて空腹を満たし
部屋に戻って俺が手に取った雑誌は学生向けアルバイト情報誌
「ワーカーズメイト」

ペラペラとその雑誌を流し読みしていくと、
誌面の後ろの方に掲載されていた不動産物件の広告が目に止まり、
俺は遠からぬ将来設計を立てるべく
どの程度の予算でどんな家に住めるのか軽く目を通しておいた。
　
　
　
帰国後すぐ実家に戻ったものの、
うちの家族構成は祖父、祖母併せた2世帯住宅の上、
俺を含めた兄弟が4人の大所帯。

広さはともかくとして、
いつまでも実家に留まるのは精神的にも窮屈だ。

　
　
と、思い調べてみたものの現状、学生風情の身の上では、
例えバイトし続けていても住めるとこは、まあ2〜3DKのアパート(賃貸)止まりかぁ…
この年でウィークリーマンションなんか住みたくねぇしなぁ…

そうして「家」という、
大きな買物を前に滞りを感じてる俺の目に、
一際目を引く夢の一戸建て物件が飛び込んできた。

「車庫」

「庭」

「自宅シアタールーム」

「テレビ電話」

「駅まで徒歩3分」

正に夢の様な条件だが、価格もまた2億5000万円と
夢のまた夢
　
　
「こんな家に住みたいなぁ…」
　
　
　
莫大な物件を前に目を釘付けにされた
俺の目にその広告を掲載してる会社らしい
「古式不動産」という企業の名が入ってきた。
　

　
「古式？確か合格発表の時、同じ名前を目にした様な…」

　
薄っすらと思い当たるその名を記憶から手繰っていると、
俺はそのまま睡魔に襲われ目の前の雑誌にもたれ込む形で眠りについてしまった。