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入学祝い

  • Posted by: 連射太郎
  • 2006年2月25日 13:55

俺は田中浩二。

小学生の時音楽の担任に紹介された中高一環の音楽学校に推薦進学し
華やかなバンドライフを満喫しようとした矢先、
俺の容姿をヤンキーと勘違いした近所の不良連中の口コミにより
区域全体の不良共からWANTEDされてしまい、
いつしか連日連夜、鉄パイプ、ナイフ、火炎瓶を
持って暴れ狂うハードコアな不良、
しまいにはヤクザにまで追われる
地獄の登下校を送るハメになってしまった。

俺はそんなバイオレンスな日常から脱却する為、
両親に嘆願して住所を変え独り暮らしまで始めたというのに、
遂には引越し先まで嗅ぎ付けた不良連中が寄ってたかって、
うちの軒先にまで嫌がらせをし始めた。

ie.jpg
 
 
 
それでも、中学卒業迄はとにかく頑張ろうとしていたが、
最終的にこの様な修羅場を迎える事に。

ore.jpg
 
 
 
身辺警護に無頓着な俺とはいえ流石にこれはマズい。
 
 
よく見ると不良連中の落書きに混じって
ご近所さんからの立ち退き状まで
書いてあるじゃないか。
 
 
 
 
絶体絶命の危機を感じた俺は最終手段として
大手ファーストフード店会長である親父のコネを借り、
中学2年〜3年までの1年間、
ニューヨークにある親父の会社の支社でバイトとして働き、
その近所のアパートにホームステイする事にした。
 
渡米して向こうで働いていたとはいっても、
俺がしていたのは厨房での仕事で
アパートは日本人専用の宿舎である為
覚えた英単語は「why?」「please」「thank you」「Nice to meet you」「How much is it?」
等の極々基本的な日常会話だけだった。
 
 
 
また、下宿先の管理人であるネイティブアメリカンのおばちゃんが、
博多訛りの日本人に色濃く影響を受けた独特な日本語で
コミュニケーションを強要するせいで、
影響された俺は英語力は全くつかなかったものの
ふとした拍子に博多便が出るようになってしまった。
 
 
 
色々な弊害はあったものの、
ニューヨークでの生活は思いの外安全で快適なものだった。
下宿先に住むルームメイトもとても良い人達で
このままこっちで生活するのもいいかなあ…
なんて思ってたんだけど、危険でもやっぱり母国が恋しいし
何より標準語で通じる相手が身近に住む国で生活したい。
 
そして決意と共に俺は小学生の頃
音楽学校を紹介してもらった例の音楽教師に
ニューヨークから連絡を取ると、
事情を説明して、今からでも俺が入学出来る
安全な高校を紹介してもらう事にした。
 
 
先生に事情を説明すると
いくつか学校を紹介してくれたのだが、
その中で俺は、比較的治安の良いとされている
「きらめき高校」という私立の高等学校に的を絞り
受験までの半年間ニューヨークで猛勉強をして
受験日に帰国し見事試験に合格。
 
 
結果は良くも悪くもない成績だったが、
好きな科目の「歴史」と、渡米時代に身についた貧弱な英語力が役に立ち
2科目で飛びぬけた成績を出せた事が功を奏した。
無駄だと思った渡米の甲斐がもありとても嬉しかった。

daiichishibou.jpg


また風の噂で耳にしたのだが以前自分を付けねらっていた不良連中は、
1年前俺が住んでいたあのラクガキ小屋と化した家で、
俺が自殺したという噂を信じ込み
今では殆どの奴等が俺の事を忘れ分散してるらしい。

確認の為、久々にあの頃住んでたラクガキ小屋を訪れてみたら
玄関に花まで飾ってあった。なんてこった。


結果はどうあれ良かった、
これで安心して家族と同居で
実家から登下校が可能になる。
 
心機一転、俺は新生活の第一歩を踏むべく、
きらめき高校へと登校した。
 
登校途中正体がバレ無い様
昔のロングストレートの髪型を止め
ベリーショートにしたしもう安心だ。
 
kamigata.jpg

 
 
そして、身だしなみを整えた後
教室に到着し、自分の席を探していると
そこに見覚えのある顔が。
 
 
 
「よう田中君、元気かい?」
 
 
 
野太いダミ声に坊主頭。
妙な私服に違和感を感じるものの間違いないぞ、
こいつは小学生の時の同級生「ストロボ」だ。
 
 
本名は穴吹というらしいが、
確か小学3年の頃、彼は学校にカメラを持ち込んで
放課後の女子テニス部や陸上部の練習風景を
フラッシュたきまくって撮影したのが原因で
仇名がストロボになったらしい。
 
そういえば家も2つ隣だったけど、
こいつとは全然面識無いなぁ…大丈夫かな
 
席番を確認すると、
どうやら俺の席はこいつの前か。
すげえ奴の近くになったなぁ…
 
 
と、不安を感じつつ彼の前に座ると
隣から馴れ馴れしい声で誰か話しかけてきた。
 
shiketa.jpg
 
 
お前に言われたくないね。
 
 
そう言って一蹴するつもりだったが、
後ろの席の穴吹が間を割って話に参加してきてしまい
何故か話が盛り上がり何時の間にか
この好雄という茶髪と仲良くなってしまった。
 
まあ、これも何かの縁か、
話しかけてきた時位相手してやろう。
 
 
 
 
 
どうでもいいけどイカ臭いなぁこの教室…
誰か弁当に裂きイカでも入れてきてんのかなぁ…
 
 
 
 
kitaihuan.jpg
 
まあ、不安の方が圧倒的に多いんだけど…

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