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夏の終わり

  • Posted by: 連射太郎
  • 2006年3月 4日 02:14

 1995年 7月30日 日曜日
 
 
 夏の全国高校野球大会の県予選が始まった。
 初の全国制覇を目指すわがきらめき高校は
 絶好調!!
 4回戦まではコールド勝ち、
 準々決勝は6−0
 準決勝は9−0と
 勝ち進み、決勝へと駒を進めた。
 
 この好調きらめきナインの原動力となっているのが
 エースの2年生、梅杉和馬先輩。
 一回戦からオール完封
 そして準決勝ではなんと
 ノーヒットノーランを成し遂げた。
 
 ちなみに俺は準決勝まで
 11打数3安打1本塁打2打点
 とチームに貢献することができている。
 
 
 
 
 
 そして今日が決勝戦
 相手は甲子園の常連でもある
 白大三高だ。
 確かに強敵だが
 今のきらめき高校は絶好調!!
 ナイン全員が甲子園出場を確信していた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 しかし、事件は起きた。
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 決勝戦の朝、梅杉先輩の姿はなかった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 合田「梅杉はまだ来ないのか??」
 2年生「それが。。。。。
     梅杉の家に電話をかけたんですが
     いつもと同じように家を出たそうなんです。
     もうとっくに着いている頃らしいんですが。。。」
 
 
 審判「そろそろオーダーを提出してください。」
 
 
 合田「分かりました。。。。。
    仕方ない、梅杉が来るまで俺が代わりに投げる!
    梅杉が来たらすぐアップをするように伝えてくれ!」
 2年生「わかりました!」
 
 
 
 
 しかし、結局梅杉先輩が現れぬまま試合は始まった。
 
 
 
 合田キャプテンは元々ピッチャーで
 梅杉先輩が入る前まではエースだった。
 
 しかし急な登板であったため
 動揺と不慣れから
 いきなりノーアウト満塁のピンチを招いてしまう。
 なんとか犠牲フライの一点でとどまったものの
 この動揺は他のナインにも伝わってしまう。
 
 好調だった打撃陣は凡打の山を築き
 鉄壁だったはずの守備にも要所要所で
 エラーが出る。
 
 結局試合は9回表が終わって
 4−3で1点ビハインド
 9回裏の攻撃を残すのみとなってしまった。
 梅杉先輩はまだ来ない。
 
 
 
 
 
 合田「最終回、絶対逆転するぞー!!!」
 部員「おーーーー!!!」
 
 
 円陣を組み、気合を入れるナイン。
 
 そこに一人の男がやってきた。
 梅杉先輩の双子のお兄さん、立馬さんだ。
 立馬さんはうつむきながらぼそっとつぶやいた。
 
 
 
 
 
 「試合が終わったら。。。。。。来てください。。。。」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
     (何があったのか??ま、まさか!?)
 
 
 
 
 
 
 どこかのマンガで読んだような展開に
 ナインの間に緊張が走った。
 
 
 それだけ言い残すと立馬さんは慌ててどこかへ向かっていった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 結局試合は4−3のまま終わった。
 俺は9回裏1アウトランナーなしから
 代打で出場し、ライト前ヒットを打ったが
 試合の流れを変えることはできなかった。
 
108-0814_IMG.JPG
 
 
 試合後
 俺達は着替えもろくにしないまま
 立馬さんに指示された場所へと向かった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 合田「う、梅杉。。。。。」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 俺達はぼうぜんと立ちつくした。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 108-0817_IMG.JPG
 
 
 
 そこは警察だった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 梅杉先輩はカツ丼を食べていた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 梅杉先輩は盗撮の現行犯として逮捕されていたのであった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 どうやら梅杉先輩は盗撮の常習犯だったらしい。
 今日も試合に行く途中
 ドラムバッグに隠しカメラを入れて
 盗撮していたところを警備員に見付かり
 警察に通報されたらしい。
 
 
 
 
 梅杉「み、みんな!ちがうんだ!
    ギャグビデオを撮っていただけなんだ!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 俺達は警察を後にした。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 学校に戻ると部員達を集めて
 合田キャプテンが話しはじめた。
 
 
 
 合田「今日もみんなよくがんばった。
    最高の試合だった。俺らは残念ながら
    全国制覇という夢を果たすことができなかった。
    しかし、その夢をもし俺の大好きな後輩たちが
    引き継いでくれたならこれほどうれしいことはない。
    。。。。。。。。
    今までこんな不出来なキャプテンについてきてくれて
    ありがとう!」
 
 
 
 合田キャプテンは泣いていた。
 今日で3年の先輩達の夏が終わったのだ。
 
 最後にみんなで合田キャプテンを胴上げした。
 
 
 
 
 
 
 帰り際、俺は合田キャプテンに呼ばれた。
 
 
 
 合田「マカオ!お前のバッティングは全国でも通用するはずだ!
    お前が3年生になった時、全国制覇するのを
    楽しみにしているぞ!」
 
 
   「は、はい!!!」
 
 
 
 
 
 
 
 合田キャプテンの夢だった全国制覇。
 俺が必ず成し遂げてみせる!!!!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 梅杉先輩の家からは大量の盗撮ビデオが押収された。
 
108-0821_IMG.JPG
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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