Home > ブラッグス

ブラッグス

  • Posted by: 連射太郎
  • 2006年3月 1日 01:34

 1995年 6月18日 日曜日

 先週の虹野さんへの電話以来
 俺は恥ずかしさと気まずさから
 虹野さんを避けていた。

 部活では出来るだけ彼女の遠くで練習し
 彼女がこちらの方向に近づいてくると
 あわてて遠ざかる。
 そして練習が終わるとさっさと着替えて
 すぐに帰る。
 日課であった虹野さんの帰りを
 こっそりつけることも今はしない。

 もっとも
 元々俺は虹野さんとほとんど
 からんでいなかったので
 虹野さんは俺の異変に
 全く気付いていないが。。。

 (はぁ。。。。気が重い。。。)

 しかしそんな重い心とは裏腹に
 引き続き野球の方は絶好調!!
 練習ではするどい当たりを連発していた。
 
 
 そして今日は練習試合。
 相手は大東京高校という高校だ。
 あんまり強い高校ではなく
 地区大会ではせいぜい2回戦といったレベルだ。

 野球名門校であるきらめき高校が
 なぜそんな高校と練習試合を組んだかというと
 大東京高校は全生徒数の4分の3が女子という高校であり
 野球部も当然選手よりも女子マネージャーの方が多い。
 そしてその中には何人かかわいい子も混ざっており
 そんな彼女達にいいところを見せて
 あわよくば彼女にしようという
 先輩達の魂胆があったからだ。
 
 
 もちろん試合の方も3回を終わった時点で
 12−0
 あまりの一方的な展開に
 キャプテンの合田先輩が3回表終了後
 ベンチ入りしている一年生を
 全員ベンチの前に集めた。
 
 合田「一方的な展開の試合になったので
    今日はお前ら一年生を試合に慣れさせるために
    試合に出したいと思う。
    あまり強い相手ではないが
    これをチャンスだと思って気合入れていくように!」
    
 
 一年生部員「はい!!!」
 
 合田「よし!じゃあ今から呼ぶやつは守備につけ!
    ピッチャーに松崎大介、
    キャッチャーに古戸敦也、
    ファーストに清花和彦、
    。。。。。。。。
    ライトに穴吹雄吾。以上。」
 
 一年生部員「はい!」
 
  俺はライトで出場することになった。
  
 合田「マカオ、期待してるぞ!
    練習で見せてるようなするどい当たりを
    相手チームにも見せてやれ!」
 
    「は、はい!!!」
 
  (バッティングは多少自信ついてきたんだけど
   守備がなぁ。。。。)
 
  
  しかし俺の心配とは裏腹に相手チームには
  左の強打者はおらず、
  ライトには全然打球が飛んでこない。
 
 
 
  そして迎えた5回の表
  ノーアウトランナー1塁
  俺は今日最初の打席を迎えた。
 
  (よし、いいところを見せてやる!)
 
  初球はストレート。
  球速は110km程度で大した球ではない。
 
  (もらったーーーー!!)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
   ブン!!!!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
    「きゃっ!!」
 
 
 
 
 
 
 
 
  俺は力みすぎて大きく空振りをして
  しりもちをついた。
  俺のおかま声に
  こっちのベンチも向こうのベンチも
  どっと沸いた。
 
   (ち、ちくしょう。。。。)
 
 この空振り動揺してしまい
 2球目のカーブは見逃してしまい
 ストライク
 そして3球目のストレートが高めに外れて
 ボール
 
 カウント2−1で迎えた4球目
 一球目と同じようなコースのストレートだ

  (今度は落ち着いてふるぞ!)

 今度はボールをゆっくり待ち
 そして思いっきりバットを振りぬいた。

 107-0788_IMG.JPG
 
 
 
 
 
 
 
   カキーーーン!!!!
 
 
 
 
 
 
 
 
 ボールは爽快な金属音とともに
 フェンスを越えた。
 
 
 
 
 
 
  「ホームラン!!!」
 
 
 
 
 
 
 打てるとは思っていたがまさかホームランとは。。。
 この点差にも関わらずきらめき高校ナインは盛り上がり
 俺はベンチ前で手荒な歓迎を受けた。

  「いて、いて、あはははは。。。。」

 合田「マカオ、きれいな放物線だったよ。」

   「ありがとうございます!」

 そして合田キャプテンの後、 
 なんと虹野さんが声をかけてきた。
 
 
 虹野「穴吹君すごい!!
    練習の成果がでたね!!
    私穴吹君がいつも一生懸命練習してるところ
    見てたから。。。。」

   「え?え?え?あ、あ、あ、ありがとう!!」

 俺はいつものように慌てて返事をした。
 
  (虹野さんがちゃんと俺のことを見てくれてたなんて)

 その後俺はずっとにやけてプレーしていた。
 
 
 
 
 
 
 
 結局試合は26−0で勝った。
107-0789_IMG.JPG
 俺はその後もヒットを打ち
 3打数3安打1ホームラン3打点の
 大活躍だった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 試合後
 俺は相手チームのマネージャーの一人に
 声をかけられた
 
 
  「さっきのホームランすごかったです!!
   これ私の電話番号です。
   よかったら連絡してください!!」

  「え?え?え?」
 
 
 その子はそれだけ言うと立ち去った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 こ、恋の予感。。。。
 
 
 
 
 
 
 
    
 
 
 
 
 

Comments:0

Comment Form

Home > ブラッグス

Search
Feeds

Return to page top