火曜日の妻達

　
　１９９５年　４月１１日　火曜日

　しまったー！！！
　入学式の日、朝風呂するの忘れてたー！！！！
　今気づいたよ。。。。
　俺イカくさくなかったかなぁ。
　これからはちゃんと朝風呂してから学校に行こう。

　きらめき高校に入学してから一週間が過ぎた。
　内気で人見知りな今までの自分を変えようと
　がんばってきたおかげでクラスにも馴染み
　それなりに友達もできた。
　隣の席の好雄とはよく一緒に帰ったりもする仲だ。
　でも。。。
　まだ女の子の友達はひとりもできない。
　そして詩織とはまだ一言もしゃべっていない。
　。。。。。
　人生はこれからだ！

　今日も好雄と一緒に帰ってきた。
　もちろん話は女の子の話だ。
　「なあ穴吹。お前俺らの学年で誰が一番かわいいと思う？？
　　俺はだなぁ。。。。詩織ちゃんもかわいいけどやっぱ鏡さんかなぁ。
　　お前は？？」
　「鏡さん？？誰それ？？俺は、そうだなぁ。。。。
　　あ、ごめん好雄！！俺今日はちょっとこの辺で失礼するわ！」
　「どうしたんだ穴吹？？そんなに慌ててさぁ。まあいいや、また明日な！」
俺はあわてて好雄と別れた。

　（あぶない、あぶない。今日は「あの日」だった。）

　実は俺は中学一年生の時から週に一回エロ本を購入している。
　そう、それが今日火曜日なのだ。
　俺は好雄と別れると人目がないことを確認して
　行きつけの古本屋「まんぞく」に入った。

　えっと。。。。
　あった！あった！

　俺は本を持ちレジに向かう。
　本を取った瞬間からお金を払い店を出る瞬間まで
　いつもドキドキだ。
　気弱な俺にこんな勇気があるとはと
　毎回自分で関心する。

　今日も無事エロ本を買うことができた俺は
　いつものようにさらにあるものを
　近所のスーパーで購入する。
　あるものとは牛乳だ。
　夜に大量にたんぱく質が放出されることを想定して
　あらかじめたんぱく質をとっておくのだ。

　牛乳も購入し、家についた俺は
　牛乳を冷蔵庫に冷やし、購入したエロ本を
　ベッドの下に隠した。
　本当は今すぐにでも「こと」に取り掛かりたいのだが
　俺にはまだやることがあった。

　そう自主トレだ！
　俺はもちろん野球部に入部した。
　来週の日曜に最初の練習日がある。
　そこで実力を見せれば絶好のアピールになるからだ。
　たしかにエロ本も大事だ。
　しかしプロ野球選手になれば
　本物の女の子に。。。。
　うふふ。。。

　俺は終始にやにやしながら自主トレをこなした。
　来週の日曜日、がんばるぞ！