下校で訊こう

category : レトロゲームアイランド 本章 2014年8月16日 

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ここは市大高校下校道、市大校から300m程進んだ先にある住宅街を、細田くん、ダイゴ、1~2m程間を取って後続に僕とケイという組み合わせでパレストへと歩を進めている所である

 

 

 

「にしてもダイゴの奴今日一段とテンションたけーなー・・・」

 

 

「んだねー、細田くんもあんなよく喋るタイプだとは思わなかったなー」

 

 

 

僕が二人の様子を見てそう言うと
ケイは前列を眺める僕の横顔を見ながら言った

 

 

「そういやアイツお前の友達じゃねーの?
別にいい奴っぽいからいいけどどういう人なの彼?」

 

 

僕はケイの方を向いて問いかけに応じた

 

 

「ああ、俺はあんまそういうの詳しくないんだけどパソコンオタクとかいうの?
ゲームのプログラムとか自分で出来るんだって。クラスじゃあまり自分から前に出るってタイプじゃないんだけど」

 

 

「えっ!?何マジマジ!?
自分でゲームとか作れんのっ?すげーなーそれ!」

 

 

ケイが僕の話に興奮気味に食ってかかると前で話すダイゴが大声を上げた

その声に驚いた僕とケイが前の二人を見ると、ダイゴが雑誌を手に取り何かを見て興奮気味に誌面に食いついてるのが視界に入った

 

 

「何々?どしたの?」

 

 

僕とケイが二人の間に割って入ると、ダイゴは手にとっていた雑誌を僕らに向けて見せびらかした

 

 

「これだよコレ!今月号のDEEP!ここの最優秀賞っていうのに、こいつの名前が載ってんの!」

 

 

ダイゴが見開きで見せつけてきたその雑誌は、今日のホームルームで担任の内田が細田くんを説教する為に持参したものと同じ物だった。

DEEPは主にPC関連の機材情報やアーケードを主体としたゲームの情報~アマチュアプログラマーの自作ゲームコンテスト等デジタル関連の情報を満遍なく掲載した、少し通向けのゲーム雑誌である。

僕は読んでいないのだが、ケイ、ダイゴの二人はアーケードゲームのリサーチの為、定期購読便を利用し、主にゲーム系のネタを取り扱った読者コーナーにそれぞれのペンネームで投稿している程の愛読者らしい

 

 

「おー!すげーっ 細田くんこんな有名なんだ!」

 

 

ダイゴと一緒になって歓声を上げるケイの横で、僕はホームルームの時の事を思い出して、細田くんにさっき訊きかけた事を再度尋ねてみた

「あ、それそういえば細田くんさっき学校じゃ言えないとか言ってたけどあれ何だったの?」

 

 

細田くんが僕たちに向かって、またイタズラっぽい含み笑いを見せると、他の二人が事情を気にしてユースケに視線を合わせて問いただした

 

 

「ん、さっきのって?何かあったん?」

 

「何かキニナルナー ちゃんと教えろよ」

 

 

僕は事情を知らない二人の為に先程のホームルームでの一部始終を簡単に二人に説明してみせた

 

「んだよあのヅラハゲ酷いナー!」

 

「へー、ていうか内田ってディープとか読んでんだな」

 

 

僕はケイの言う事に耳を傾けると、ホームルーム以降感じていた違和感に思いを巡らせた。確かに、受験、校則重視一直線の内田が何故、わざわざ教室内にゲーム雑誌なんか持ち込んだんだろう?そもそも個人的な話なら職員室に呼べば良かったのに
僕が思い込んでいると細田くんが手に口を当て、笑うのをこらえてる感じにその違和感を解消する説明をし始めてくれた

 

 

「これさ、僕の名前載ってる二つしたん所にも作品賞って載ってるじゃん?」

 

 

細田くんはそういうとダイゴが開いてる雑誌のページの一部を指差してみた、それを確認したケイが読み上げていく

 

 

「何々・・・えーと、監獄戦記」

 

 

内容はモンスターの出現する迷路状のダンジョン内を、武器や防具等を拾いながら制限時間内にクリアするという、3Dダンジョンと迷路を組み合わせたようなゲームだった
「なんだよこのクソゲー、絵も下手だし終わってんナー」

 

 

ダイゴがそう言って腹を抱えて嘲笑してると細田くんが話を続けた

 

 

「それさ、内田の作ったやつなんだよ」

 

 

彼は一際小悪魔っぽい笑顔で微笑みながらそういうと、僕らは一斉に声を上げて驚いた

細田くんはその驚く僕らの反応を楽しむ様に話を続けてくれた

 

 

「あはは、いや、ちょっと前、内田とのマンツーマンの補習でね、ボソっと「家帰ってパソコンやりたいなー…」って言ったらあいつ食いついてきたんだよね「細田ぁ、お前パソコンとか出来んのか?」ってさ」

 

「何?内田ってパソコンとかやるの?」

 

 

僕が意外そうにして尋ねるとエイジが答えた

 

「うん、それで「はい、趣味でゲームとかも作ってます」って言ったら、「俺もやってんだけどよ」って、話が盛り上がってね。」

 

 

「ふぇー、あいつがねー。
 つーか、語学担当してるのに分野違うじゃん」

 

 

ダイゴが腕組みしながら感心した様子でその話に聞き入ってると細田くんは更に話しを続けた

 

 

「うん、それも結構年季が入ってて、僕より昔から遊んでて、家にパソコン5台位あるんだってさ。元々理数系専攻してて大学でも物理とかやってたんだけど、そこの大学の古文担当してる教授にえらく気に入られて無理矢理そっち系の教育実習積まされて流れで今のポジションになったんだって」

 

 

淡々と説明を続ける細田くんにケイが気を遣いながら割って入ってきた

 

 

「へー、意外・・・ 内田っていっつもカリカリしてるからとっつき難い感じだったけど、普通に話とかすんだな」

 

 

横で話すケイの言葉に首を縦に振って共感していると、細田くんは続けてがこう言った

 

 

「うーん、オレは職員室とか補習で普通に色々話聞いてくれるから良い先生って印象だけどね、たまに補習や成績表の件でオマケしてくれるし」

 

「ひでーなー、あの不良教師」

 

「じゃあ、ホームルームの件とかは、あれジャレアイみたいな感じ?」

 

 

僕は、学校でのホームルームの一件について踏み込んで聴いてみた

 

 

「あー、あれね、内田にプログラムの細かい部分とか教えて上げてるの僕なんだよ、それでゲーム出来たら同じコーナーに投稿してみようって言ってたんだけど、俺の方が上位になったから悔しかったんじゃなかったのかな」

 

「意外と子供っぽい所あるんだなあいつ」

 

 

4人がエイジの話で盛り上がっていると
2階建てのビデオショップの前に辿り着いた

 

 

「あ、ホソダくん、ここだよ、ここ、パレスト」

 

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