オカルト相談室

category : レトロゲームアイランド 本章 2014年9月19日 

okujo02

ここは市大高校4F廊下。

 

水口にハイリ先輩の事を頼まれた翌日、僕は休み時間の合間を縫って彼女が在籍する3-2前までやってきた。

 

 

「えーと、確か、先輩のクラスはここだよな」

 

 

僕は上の札を見て教室を確認すると、教室の戸を開けハイリ先輩を呼び出す事にした

 

 

「ガラッ」

 

「すいませーん、ハイ・・・・いやパク先輩はいらっしゃいますかー?」

 

「アン・・・ブル・・・・クォ・タ・ブラン・・マギ・・
ヴォルヴォ、ヴォルヴァ・・」

 

 

 

「ピシャッ!」

 

 

「!?」

 

 

 

扉を開けるとそこにはカーテンを閉めきった教室内の中、教卓に置かれた何かの頭蓋骨の様な物に大きな蝋燭が立てられ、その前に座った紫の法衣を着た怪しげな者が両手をかざし何やらブツブツと呪文の様なものを唱え、その様子を目の前に座った複数人の女子生徒が食い入る様に見つめるという、何とも禍々しい光景が広がっており、その光景に圧倒された僕は思わず扉を閉めてしまった

 

 

「・・・?」

 

 

目を擦り札を確認してこの教室が紛れもなく3-2である事を確認すると、
僕は再び教室の扉をソーっと開けて中の様子を改めて伺ってみた

 

 

 

「ナカイさん、貴方のこの後1~2年に亘る全体的な運勢たけとね、今私出したこのカートと、卓に広げた筮竹(ぜいちく)の位置を相関して出た値を、黒板に書いて見せた星の位置と照らし合わせるの、すると一つ大きく分かった事あるよ」

 

「何々!?早く教えて頂戴っ!私の運命がかかってるのよ!」

 

 

法衣を着た怪しげな女に大きな声で捲し立てる様に返答を急かすその相手は美術の顧問、中井だった。

そして怪しげな者は目の前に広げたトランプのカードの様なものを手に持ち直して鮮やかな手さばきでシャッフルすると含み笑いをしながら答えた

 

 

「行動運は最高ネ。ただ、社交運、特に恋愛と出世運、オマケに健康運がサイアクよ。しばらく結婚は諦めなさい、最悪 死ぬわよ」

 

「嘘ーーーー!ヤダー!相談所行った時は100年に一人のお相手ですねって言われたのよー!」

 

 

頭を抱えてヒステリックに叫ぶ中井を周囲の女生徒達が囲んで慰めの言葉をかけ始めると中井を占っていた怪しげな女は教卓の前を離れ教室の電気をつけて深々と被った法衣をバッと取り去った

 

 

 

「あっ パク先輩!」

 

「アラ?コマツくん、いらっしゃい。珍しいわねー、貴方の方からクルナンテ」

 

 

そこに居たのは僕の探していた中国帰りの女生徒、ハイリこと白美鈴その人であった

 

 

「あ、すいません、実はちょっとお願い事があるんですけど、今忙しかったみたいですね・・」

 

 

僕は美術の中井の方をいちべつすると、彼女は猛った様子で僕に食ってかかってきた

 

 

「何よ見せもんじゃないわよ!」

 

「・・・」

 

 

中井はそういって相変わらず取巻きの女生徒達に慰めの言葉をかけてもらっていた

 

 

「マー 別にイイワヨ 大した事でもナイカラ。でも、そーねここはちょっと騒かしいし、込み入った話なら屋上で
とうかしら?」

 

「すいません、助かります」

 

 

僕はハイリ先輩とうなだれる美術の中井に軽く会釈をして3-2を出て
彼女と屋上に向かう事にした

 

 

 

 

そして僕たち二人は屋上にやってきた。現在昼休みの為、僕等の他にも7~8人程度の生徒達が、互いに昼食をとりあったり、バトミントンやトランプ等で遊んでいる。

 

 

 

「・・・」

 

「・・・」

 

 

僕が屋上の塀越しに下を眺めるハイリ先輩の様子を後ろから眺めていると彼女はポツりと呟いた

 

 

「平和だわ・・・・」

 

 

異様に重い先輩の一言に一層話しかけるタイミングを失った僕は、日頃気になってる彼女のヘアスタイルに探りを入れてみた

 

 

「先輩、その髪型風に強くていいすネ」

 

 

そう、今日はかなりの強風で多くの女生徒、ロン毛男の連中の髪が靡く中、お団子状にマトめられた彼女の髪型は一糸乱れぬ姿なのだ。
すると彼女はくるっとこちらを振り向いて思わぬ反応を示した

 

 

「フフフ、これね家庭の方針でこういう髪型にしてるのよ。淑女たる者、日品のある姿をなさいって」

 

「な、成る程」

 

 

お団子頭のどこに淑女要素があるのか、上流階級の教育は僕には到底理解出来なそうだと思っていると先輩は僕に続けて話してくれた

 

 

「それにね、この髪型割とすぐにほどけるのよ」

 

 

ハイリ先輩はそういうと自らのチャームポイントであるお団子頭をシュルっと解き、僕にいつもとは違う姿を見せてくれた

 

 

「どうかしら?」

 

 

僕が思ってた以上に微妙な先輩のその姿を見て反応に困っていると、屋上に一際強い突風が吹き荒れた

 

 

 

「ビュオオオオ!」

 

 

 

すると、お団子頭から解き放たれたハイリ先輩のロングヘアーが出光マークの様に乱れ彼女は声を上げた

 

 

「キャッ!」

 

「うわっ!」

 

 

僕は突風よりも先輩のインパクトあるその姿に恐怖を覚え思わず驚きの声を上げてしまった

 

 

「やっぱり慣れない事はするものではないわね」

 

「あ、あのっ、先輩はいつもの髪型の方がいいと思います!」

 

 

僕は彼女がこのままの姿だと恐怖で目が合せられそうに無いので、とってつけた様な社交辞令で元の髪型に戻す様お願いしてみた

 

「えっ!?」

 

「い、いや、イメージと言いますか・・・先輩のキャラがちゃんと立ちますし」

 

「キャラ?」

 

「と、とにかく元の方がいいと思います!」

 

「フフ、そうね、分かったワ。ちょっと待っててくれるかしら」

 

 

そう言うと、彼女は何故か恥ずかしそうに解いた髪をマトめて元のお団子頭に戻し始めた。

 

 

 

 

 

「10分後」

 

 

 

 

 

解くのに比べ、思いの外ヘアセットに時間のかかるハイリ先輩のお団子頭が整うと、ようやく相談をする体制が整った。

 

 

「ごめんなさいねコマツくん、待たして。それて、話しって?」

 

 

昼休みの時間も残り少ない為、僕は一気に水口の件を話す事にした

 

 

「先輩、実は僕の友人が心霊現象に悩まされてるそうなんです、力になってくれませんか?」

 

「霊?」

 

「はい、いつぞや先輩に占い以外に簡単な除霊も出来るって伺ったの思い出しまして」

 

「見てみない事には分からないけど、どういった様子なの?」

 

 

予想以上に協力的な姿勢を示す先輩に、僕は水口に聞いた自宅での現象等をまとめて伝えてみた

 

 

「うーん・・・その場行かないと何とも言えないけと、 地縛霊の可能性か高そうネ」

 

「あの自殺した奴がその場を呪い続けるとかいう奴っすか?」

 

「そう、よく知ってるワネ」

 

 

僕は別にオカルトマニアという訳でもないのだが、先日たまたま観た心霊特集番組でそういう説明をしていたのを思い出して呟くと、先輩は説明を続けてくれた

 

 

「マンションやアパートなんかの集合住宅に寄りつくのは大抵この手のやつなのよね」

 

「それで、どうでしょうか?」

 

「とりあえずその友人の住まいを見せてくれる、霊視して私の力で何とかなりそうなら力になるよ」

 

「ありがとうございます!」

 

 

そういって僕が深々とお辞儀をすると先輩はニッコリ微笑んで返事をしてくれた。思ってる以上に話しがスムーズに運び、僕は放課後ハイリ先輩を水口の自宅へと案内する事になった

 

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