韓国発のWEB漫画 「外見至上主義」が神がかって面白いので紹介

いや、参った。冗談抜きにここ最近読んだ中で一般詩含めてマストバイなマンガでした。少し前から、話題のWEB漫画という事で各所で広告紹介されていたんですが、そん時の印象は

「なんかペルソナ風のハンサムボーイがすげー気になる」

位で、キャッチコピーが「朝起きたらブサイクからハンサムに」という、割とえげつないカーストヒエラルキーを感じさせるもので、広告を目にした数か月前は少し気分が沈んでいる事もあって読むのを控えていたんですが、日本のサイトに翻訳版が全話無料掲載されていると知り、何となく一気読みした所大ヒット。

筆者の第一印象としては、日本では既に化石化してしまってる古き良き、週刊少年漫画のリブート作品という感じで徹底的なスクールカーストを舞台に現代的なガジェット、社会風刺を加味した作品という感じ。

黄金期のジャンプを読んでいた世代なら、少しわざとらしいとも言える登場人物のリアクション、ラブコメ、不良同士の抗争、そして何より、推定年齢30~40の男塾風のヤンキーデザインが心地いい事この上ないかと。

主役の二人(正確には心と記憶は一緒なので2体)、圭介くん。母子家庭で育ったものの、お世辞にも良いとは言えない容姿のせいで学校で虐げられる生活を一変させるためデザイン学校に転校したものの結局同じ扱いに。しかしある日、彼が目を覚ますと身体が超イケメンになりそれまでスクールカースト最底辺だった彼の周囲の環境が一変する事にという内容。

眠ると身体が入れ替わる為、常に傍らにもう一つの入子をという世にも不思議なルームシェア。
後、何故かブサ方の圭介は必ず裸で寝ます。つの丸リスペクトしてるのか知りませんが、キャラデッサンは毎回コロコロ変わるのにここだけ徹底しています。

いじめられてる中で同じような境遇の仲間を見出していくのも本作の見所。こういう、同じ境遇同士のグループが這い上がっていくサクセスストーリーは割と今までもあって特に目新しさも無いんですが、美形キャラの方と身体は勿論、記憶も共有出来ているのでブサ時に立てたフラグを美形時に回収したりその逆もまた然り、時と場合によって身体を使い分けていく感じが、何ともアドベンチャゲーム「街」「428」のザッピングシステムの様で楽しい事この上ないです。

喧嘩が強く、異性にモテモテ、そして情にも熱く、モデル並みの容姿で友達想いなハイスペック圭介を利用してやろうと不穏な取り巻きによる争奪戦も本作の見所。恵まれない環境で育ちながらも純真でけがれを知らない彼は疑う事無くホイホイついていくものの、憧れの上位カーストの現実を目の当たりにし自分が想像していた生活とのギャップに打ちひしがれます。

それと、主軸である、容姿の変化によって周囲の環境に振り回されるストーリーとは別に、ポリシーを持ち、人との関わり合いによって、少しずつ変化、成長を遂げていく、個性、魅力溢れる主要キャラ、コメ欄見ても、ストーリーそのものより、その辺を楽しみにしている人達も多いみたいです。

下記で本作に登場するそんな魅力的な主要キャラを一部ご紹介。

チームバーンナックル リーダーのバスコ

個人的にも好きというか、多分この漫画読んでいて嫌いという人居ないんじゃないかというバスコ。
筋肉質で大柄な巨躯に一際目を惹く体中に刻まれたタトゥー。

問答無用で悪役な設定見た目ですが、実際は過去に壮絶ないじめ(というより、犯罪行為に近い)に遭い、
身体中に刃物でいたずら書きをされ、それを消すため上からタトゥーを掘り、自分の力で逆境を乗り越えようと幼馴染の同士と共に強きをくじき、弱きを助け悪を制するチーム「バーンナックル」を結成するという、大岡越前ばりの人情家。

見た目で人を判断しない事に加え、過去に自分も虐められていた経験から、ブサ圭介にも優しく、
トレーニングに付き合ったり、ピンチにかけつけてくれたりする。

また、人は良いものの、手の付けられない馬鹿なのでギャグパートでいきなりねじ込まれる事も多く、空気が重くなった際の調和剤としても優秀。

無口な貴公子 四宮

同クラスの四宮。美形状態の圭介を凌ぐスーパールックス。本作始まって以降、全く口を開く事が無いが非常に好意的で、圭介が困ってると財力体力問わず何でもしてくれる。見た目に違わず身体能力も群を抜いており公式戦は少ないもののの、実は、軍事格闘術「システマ」の使い手で、作中屈指の武力の持ち主である。

更に、実家が超のつく実業家の御曹司で桁の違う財力で幾度となく圭介の危機を救ってくれる。

ただし、あまりに無口な為、彼が主役の回ではサイレント漫画になるという珍事が発生。日常パートでの絡みはあまりに喋らない為圭介の腹話術人形と化している。

圭介と四宮の和やかな日常の一コマはBL本が厚くなる事請け合いな微笑ましい物であり、本作のコメント欄は彼と、圭介との関係を巡る腐れ女子様方の熱いコメント欄で日々埋め尽くされている。筆者は四宮くんは大好きだが彼のファンはフロンガス的な環境破壊を感じるので苦手である。

ちなみに彼は主要キャラにしては珍しくブサイク圭介との絡みが殆ど無く、今後その理由が発覚するのか定かではないが、筆者はどちらかというとブサイクな圭介を受けに回らせたBL展開をあえて希望して、それがキッカケにコメント欄に漂うフロンガスを一掃して頂きたいと思っている。

「熱いボクシング不良 流星」

物語冒頭で登場して以降、ブサイク圭介、美形圭介の双方に深く関わっているある意味で最もヤンキー漫画とかに居なくてはいけないタイプで作風の変化とシンクロしている人。

始めはとにかく粗暴で引っ越ししたてのブサイク圭介を気の向くままに殴り飛ばす狂人だったけど、回が進むにつれて人に殴られる痛み、大切な人を守る気持ち、見た目や立場で人を判断しない事等、主人公以上に環境を通じて進歩、成長を遂げているお約束の不良キャラ。

ボクシングの使い手で話が抗争ものに入ると必ずといっていい程前線に立たされ活躍する。ここ最近の話では完全にヒールから友達キャラに転身。バスコや他のメンツとの相性も良く、シリアス、ギャグストーリー問わず活躍してくれるバイプレーヤーという感じ。

回が進むごとにキャラ崩壊。こういう変化の著しいキャラが一人居ると読み続けるのが楽しくなります。

圭介と同じ睡眠分離体質のヒロイン 練馬秋里

圭介の後に転校してきた明里ちゃん。容姿がブサ圭介の対となるメガネっ娘で、実は彼女も寝ると美形になる異常体質を持つクロスオーバーな隠れヒロイン。

圭介同様心が優しく、また家柄が巨大企業でどうにもならないピンチを救ってくれる重要なバイプ役となる事もしばしば。実はブサイク時の彼女が登場する随分前の話でコンビニでバイト中の圭介と会っている。

作品のテーマそのもので既にコナンのオマージュっぽさは感じていましたが、秋里ちゃんは灰原さんのポジションですかね。自分の正体は秘密っていう設定、藤子F以降、魔法少女然り古典的なプロットなんですが、しっかり描くとやっぱりワクワクしますねー。

「巨大企業の集金役「淳介」、ガードマン役「譲」

金髪の淳助と黒髪の譲、両方ともロングコートに身を包み、所属企業の為 譲は令嬢の練馬秋里のガードマン役、淳介は、各地から集金作業を行うコンビ。
作中最強の両翼でこのコンビが出てきたらとりあえずどんなピンチも解決すると言っていいリアルダブルドラゴン。本作のアクション要素をより一層引き立たせるスパイス役。

両氏共にバーンナックルバスコとの繋がり深く、譲は、文化祭の後、バスコの誤解により対峙するも、力自慢の彼を一方的に打ちのめすという初登場。

裏家業的な存在ではあるものの、基本的にはバスコに的確な助言を送り、作中でも一方的に売られた喧嘩以外はしないという正義感。練馬秋里の側近として彼女の実情をよく理解した大人めいた助言を送る事も。

淳介は、バスコが凄惨な虐めに遭っていた時代、バスコと同じく虐められていた友人の従兄弟という設定で現れ、虐めを行っていた相手を完膚なきまでにズタボロにするというインパクトのある初登場を果たす。表情から台詞から徹底して悪を煮詰めた様なキャラだけど、その実、非常にクレバーで筋の通ったネゴシエーションをする辺り非常にアンチヒーローらしい働きぶり。

その後、バスコに「どうしたらそんなに強くなれる」と問われ、面倒くさがって「腕立て、腹筋、スクワットをそれぞれ100回。毎日10キロずつ走れ」という適当な課題を告げ立ち去る。

キャラクター的にはヒーローとアンチヒーローという感じで、さながらアメリカンコミックテイストな圧倒的な力のカタルシスを感じさせる凄い魅力的なキャラクター。それぞれでもインパクトは強いんだけど、二人揃った時のワクワク感はハリウッド的なエンタヘテイメント性を感じさせます。彼らだけのスピンオフも見てみたい。

画像出典:外見至上主義, List10 | XOY

とりあえずはこんな感じ。作者さんは韓国在住の新鋭の実業家で本作の他にも本国でモデルやショッピングモールの運営等、
数々の事業を営んでいるパク・テジュン氏。出自から分かる様に素晴らしい才覚の持ち主の方で、漫画の方も「ラブコメ」「アクション」「人情物」と、一作に様々なエッセンスが散りばめられて読んでて本当に飽きません。

特に、熱い格闘描写やライバルとの和解、共闘、黒幕の登場、一部のキャラ同士の秘密の共有等、少年・少女漫画の伝統的なプロットを愚直にまで駆使した綿密なシナリオの数々に、本当に漫画好きな方なんだなーと思わさせられます。

90~00年頃のヒットヤンキー漫画「カメレオン」「今日から俺は」「GTO」「ろくでなしブルース」「特攻の拓」等、全てを掛け合わせた様な、ここ最近見なくなった熱い展開の少年漫画で、漫画を読んで気持ちを鼓舞したいという方に是非お薦め。

ただし、お国柄か作者の体験談からなのか、スクールカーストものの定義に漏れず、かなりえげつないイジメ、暴力、差別、下ネタが多いので、現状そうした表現に抵抗がある方、受け入れるゆとりが無い方は読むのを控えた方がいいかなとは思います、その辺の重い描写の裏にはそれ以上に深い人間愛や、社会問題との対峙に真っ向から立ち向かう作者なりの理由が読んで取れて、読めば読む程素晴らしさが分かるんですが、多分今の日本国内のメディア倫理からすると青年誌がギリギリな内容かなと。

一見して作品のタイトル、テーマは女子をターゲットにした様な感じを受けますが、イラストデザイン以外は「努力」「友情」「勝利」の集英社イズムに乗っ取った、完全に男性誌向けといっても差し支えない内容なので、「ブサイクからハンサムに」という糞みたいな引きの広告に好奇心削がれてる野郎共に一度でいいから読んでもらって楽しんで頂きたい作品です。

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