冒険少年クラブ画報
製作会社 ジョルダン
価格 6800円
プレイ時間(約) 10〜20時間
ゲームジャンル 想い出探索型アドベンチャー



ストーリー解説

昭和30年代の古き良き下町の風景をモチーフとしたアドベンチャーゲーム。

 

「昭和の忘れ物を捜しに」をキャッチにプレイヤーは主人公「トキオ」となり、

町の中を歩き回り、昭和の世界に似つかわしくない物を探索したり、

下町の住民との会話を楽しんだりしながら30日という期間を過ごしきる事が目標。

 

エンディングに辿り着くまでにこれといった条件は無いが、

駄菓子屋で購入した玩具でトキオの持っている「秘密手帳」の一ページを埋め尽くすと、

説明書に付属しているオマケ漫画の続きをエンディング後に見る事が出来る等、

物語を一辺倒に終わらせない開発者のサービス精神を感じさせる工夫が凝らされている。

 

ちなみにキャラクターデザインと説明書の絵は「ロトの紋章」「雷火」等で御馴染みの「藤原カムイ」が担当。

シャープで淡いタッチの筆遣いが昭和の世界観に見事マッチしている。


ゲーム紹介

自分がこの作品を購入する事になったキッカケは、

ゲームショップで手にした本作の販促用チラシに描かれていた

夕焼けの色と、主人公「トキオ」の表情の素晴らしさ。

つまるところ 「ゲームシステムうんぬん 」 より、

「藤原カムイの画力 」 によるところが大きい。

 

というか、コンセプトからして斬新過ぎたのか、

この作品をゲーム誌面で目にした事が無いので

俺はシステム面の理解を先に持つ機会が無かった。

多分、ゲーム誌以外の広告効果で買わされた作品はこれが初めてになると思う。

 

 

で、ゲーム販売1ヶ月程前に、本作の発売を知る事となり

発売日当日に店へ買いに行ったは良いものの、

マイナーな作品なのか新作欄に並んでなかったんですよね。

仕方ないので店員に直接販売要求しまして

 

俺「冒険少年クラブ画報というゲームが欲しいんですが」

店員「なんでしょうか?」

 

俺「冒険少年クラブ画報です」

店員「知りません」

 

俺「探して下さい」

店員「少々お待ち下さい…」

 

と、要領の良さそうな店員の接客を惑わせる程の認知度の低さも乗り越え、

10分程探してもらいようやく購入に成功。

 

 

 

で、やってみたんですが…

どうなんでしょうか、予想通りっていえば予想通りの面白さで、

ある意味予測を超えた面白さがあります。

 

 

ゲームを始めようとDVDをセットしPS2の電源を入れると、ジョルダンのロゴが流れた後、

まず、「ザーッ」というノイズ映像の後にモノクロのテレビCMがパッと一瞬映り、

画面に美麗な夕焼けが広がり、そこに流れ始める古臭いフォークソング。

 

OPを見終えゲームをスタートすると「トキオ」とその両親が

一つのチャブ台を囲み団欒の時を過ごしている画面に切り替わる、

 

母親の「宿題しなさいよ」という小言から、俺は

「トキオは今 「夏休み」に入ってるんだな」と察する。

そうしてる内に団欒の時も一区切りし、いよいよ昭和30〜40年代という、

まだ俺が生まれて無かった時代の町を俳諧する事となる。

 

何とも不思議なプレイ感覚である。

 

ゲーム中にBGMは無く、遠くの方で大工作業をする様な「ガチャン…コーン」

という金属音が聞こえたかと思えば、田舎暮らしの人ならご存知であろう、

豆腐屋の「プオォ〜」という高いラッパの音色が町に響き渡る。

 

プレイ初日は、とりあえずそんな町の中を歩き回ってみたが、その狭さに驚かされた。

この町は3D構成のマップから出来ており、アクションゲームの様な自動スクロールではなく、

RPG式に 「1コマ一画面 」として、角まで来ると別の構図に切り替わるコマ割方式となっている。

 

で、それぞれのコマに「看板」や「ポスター」「乗り物」「家屋」等が視覚に映り、

プレイヤーは、これ等の中に紛れ込んでる「昭和時代に存在しない 」「新しい物」を探索していく訳になるのだが、

指示通りに動く事が義務付けられる事の多い昨今のお使いゲームに慣れていた身としては、

まず 「明確な目的」 を探すのに苦労する程の自由度に困惑していた為、

その探索過程を見つけた瞬間「こういう事か」とゲーム目的について妙に納得させられた事をよく覚えている。

 

が、町には他にも

 

「菓子や玩具を売ってくれる駄菓子屋のオバちゃん」

「町の情報を教えてくれる銭湯の番台オジサン」

「桃屋印の眼鏡」(何か許可取ったみたいで、あの眼鏡つけて「郵便屋」「占い師」等に扮し町各所に登場)

 

と、そこに居るだけでゲームの指標になるシンボルが多く存在する。

 

そして、更なる目的は「収集要素」

 

この町の中には「ブルーチップ」「ドーナッツ盤」「テレビ欄の切れ端」

という、3つの物が、不確定、それこそ画面の隅っこ何も無さそうに見える場所に

無造作に落ちていて。これ等は拾って、ある場所に還元する事で

 

 

・ブルーチップ

>集めている母に渡し1枚10円と交換。

 

 

・ドーナッツ盤

>町のBARに行くとプレイヤーで回して音楽を聴かせてくれる。

 曲は昭和30〜40年代のフォークソング。

 数は10〜15枚程度

 

 

・テレビ欄の切れ端

.>拾う度に電気屋の前にあるテレビで視聴出来るコマーシャルの数が増えていく。

 視聴出来る映像の数は20CM程度。

 DVDの容量の利点を活かし実際に「文明堂」「江戸紫」「ロート」

 等、昭和30年代に放映されていたモノクロ映像のCMが収録されている。

 

 

と、目的の要素を発揮し、

時間制限の課せられた町の移動を上記の探索に費やす事で

それぞれにゲーム目的を持つ事が出来る按配だ。

 

もし、この町が広域な土地であったら、こうした「探索要素」は

1日の時間制限に食い潰されてしまう可能性が高かった事を考えると、

狭い中で日々の状況の変化を楽しませる箱庭的バランスは、

明確なマトまりの無い自由度を調整する上で見事な軸作りだったといえる。
( 日10〜15分程度で日が沈んでゆき、夕暮れになった辺りで自宅に自動送還される仕組み。
町の住民は30日の間、それぞれ違う立ち位置で日常にあった話しをトキオにしてくれる)

 

操作性は良好。

斜め移動がやや辛く感じられたが、これはきっとアナログスティック慣れしていない俺の問題。

 

1日の終了毎にセーブポイントが組める事と、一回のプレイ時間が短い点から

プレイ終了に区切りがつけやすく、趣味に割く時間が限られた社会人にはうってつけのゲーム構成。

 

また、何処に落ちてるか分からないテレビ欄の切れ端を道端で見つけた時等、

テレビでどんなCMを目にする事が出来るのだろう、と、かなりドキドキする。

 

 

全体的に大きな問題も無く、面白さは間違いなく保障出来るゲームだけど、

致命的な難癖をつけると「全体的なボリュームが希薄」な事。

 

町の広さや時間制限に関してはバランス上文句をつけないが、

住民の台詞回しや落ちているテレビ欄の数とか、

こうした部分で容量切り詰めればもう少し実の詰まった内容になったと思います。

 

高級デスクの引き出しに仕事上必要最低限の物は整理されて入ってるけど、

趣味の部分がカスカスで半分だけポッカリ空いちゃってるとか、そんな感じ。

アプローチからして抜群なんだから、

素材吟味した上で欲張って詰め込んでいけば

更に良い作品になっただろうと思うと実に惜しいです。

 

という事で、開発者の方への期待感も込めて、

次回作の目標は「収納上手」

 



採点表
最高5ポイント

グラフィック



サウンド



バランス



ストーリー



アイディア



中毒性


連射のつぶやき


この前押入れを整理してたら奥から週間少年ジャンプの剥がれた表紙が見つかった。

「ドラゴンボール サイヤ編突入」
(表紙文字より)

何故かその表紙を捨てられない俺がそこに居る。


記入日時 2004/2/6/
記入者