PM9:00

CDROMの手配先について須藤に要求された明彦は、
須藤の車の助手席に乗車し去影社を目指していた





須藤
「…」



明彦
「オッサン、正ちゃんとこ着いても
本当に手出さないでくれよ」




明彦の執拗な言及に業を煮やした
須藤は一つため息をついた後自らの頬を強くツネり、
ツマんだ皮膚を持ち上げる様に引っ張った




「ペリペリペリ…」






すると小皺だらけの須藤の年老いた肌の下から、
浅黒く、張りの良い逞しい骨格が姿を見せた





明彦
「あっ！？」





目の前で起きた出来事を処理しきれない明彦が思わず声を上げると
須藤は落ち着いた様子で明彦を諭す様に口を開いた




須藤
「二度言わせるな、俺を信じろ」




須藤はそう言うと、自らの白髪を鷲掴みにし
今度はその掴んだカツラを後部座席へと投げ捨ててみせた、




「バサッ…」






すると、その下から先程の白髪交じりの頭髪からは
予想出来ない整ったスポーツ刈りが顔を見せた






須藤
「初次見面」





明彦
「っ！？」







須藤正治
(本名:劉 黄鶴(りゅう　おうかく)


香港の特殊部隊　飛虎隊（デェイフィータイ）
通称SDUの軍務を遂行する兵の一人。

現在多発している「香港〜日本への人体〜麻薬の大量密輸」や、
日本で起きている児童・婦女、連続失踪、行方不明事件の
関連性について、元SDUの兵、及び中国マフィア「蛇頭」の一団が
関わってる可能性が高いとして、
事件解決の為SDUから警視庁へ選抜派遣されたのが彼である。

任務と関連性のある犯罪が起きた場所を極秘調査する為、
戸籍証明を一時的に変えコードネーム「須藤」として、
警視庁を拠点にして、軍・政府〜日本を
情報操作の提携役として行き来するのが劉の役目だ。







須藤
「掻い摘んでいうと俺は警察関係者だ、嘘はついてない。
ただ、俺の実齢は恐らく君の印象よりは多少若い。
その程度の事さ。」






明彦は急な目の前の出来事に呆然として須藤を見ていた






明彦
「・・・・・」





そして明彦の空いた口を塞ぐ様に
須藤の痛烈な一言が突き刺さった





須藤
「少年、任情報漏えい防止の為、
これよりしばらく君を俺の保護管理下に置かせて頂く」





明彦
「えっ！？」





須藤
「請多關照」






明彦
「・・・・・」





















ハメられた。明彦はその言葉を耳にした瞬間
車上した自分の浅はかさを呪った。