トリックピエロ

 

時差
















「チャッ…ジャッ…チャッ…シャッ」




目の前の揉め事から目を反らす様にマリーは助手席に座り
手にもった100円ライターの石を擦り続けていた






マリー
「…」







「カツッカツッカツッカツッ…」






少しすると重なり合う足音と共に
シカめっ面の道成とコメカミから冷や汗を流した透が
マリーの視界に入った



「ゴッゴッゴッ…!」




ゴツゴツしい拳が車の窓を叩いている事に気付いたマリーは
パワーウィンドウのボタンを押し窓を開く


「ウィーーー…ン」




道成
「よぉ」













マリー
「どうも…」






「面倒くさい奴に会った」

目線を合わせた二人は即座にそう感じ取り、
マリーは事の次第を手早く済ませる方法を思索した





マリー
「捜査中で道を急いでもので」



道成
「標識が見えない位にねぇ…」






「ぅははっ…(^^;」












道成
「公道で80キロ近く出しやがって」



マリー
「…」







マリーはドアに手をかけ表に出ると深々と礼をし
道成に捜査帳を見せてみた。







「すいません本当に…」







透は道成に仰々しく敬礼をするとソソクサと車に乗車した







道成
「…」







渡された手帳に記載された勤務内容を一通り流し読んだ道成は
溜息を一つついてマリーにそれを返す







道成
「後で交通課に連絡だけ入れとくからな」



マリー
「どうも」




「あの…」



道成
「なんだよ、運転音痴」







道成は吐き捨てる様に背後の透へ目を合わさず返事を返す








「キー回してるんだけど…なんかかからないなー(^^;」



マリー
「………」



道成
「ガソリン飲ませてお前回してやろうか?」




「すいません…すいません…(泣)」








「ブーブーブーブー…」






その時、胸ポケットの携帯が小刻みに揺れてる事に気付いたマリーは
道成に一つ会釈をして受信をオンにした





マリー
「はい、大嶺です」



秀明
「もしもし、秀明です」
















秀明
「連絡先を伺っていたので、
確かこちらでよろしかったと…」



マリー
「どうも、お久しぶり」



秀明
「LimitOverだよ大嶺くん」





マリー
「服選びに時間かかっちゃってねぇ」



秀明
「ナルホド ナルホド…」





マリー
「いつも御忙しい院長さんに
予定外の休憩時間くらいあってもいいだろう?」




秀明
「んふふふ…いや、実にありがたい」







秀明は含み笑いをしつつテーブルに転がした飴でオハジキを始めた














「バチッ」「カシャ…」









マリー
「着いたら連絡を入れる」




秀明
「ああ、タノシミにしてるよ」






秀明はマリーにそう言い携帯を切った






「ピッ」







秀明
「Sweet Timeは短いものだよ」






秀明は携帯の待ちうけ画面に写る人体模型にそう言うと、
テーブルに転がるキャンディを一つ手に取り袋ごと噛み砕いた






「ジャリ・・・ゴリッ!」







秀明
「ンッ…」



Last Update : 2004/08/11