トリックピエロ

 

視察

明彦
「人ん家に直接こんなもん届けやがって!」





明彦はモニターに映し出された凄惨な映像に苛立ち
目の前に置かれた封筒とCDケースを壁に叩きつけた




「ゴオァシャ!カサッ…」






明彦
「ん?」





明彦は壁に叩き付けて割れたケースの中から
レシート程の小さな紙切れが
自分の目の前に落ちてくるのを確認した




明彦
(メールID
black_it_3345@×××様宛…って)






明彦はヒラヒラと落ちてきた小さな紙きれを拾うと
伺う様な目付きでマジマジとそれを覗き込んでみた







明彦
(…俺が契約してるID(black_it-3345)と一字違いか





慣れた顔付きで現状況を見開いた彼は
その拍子に先程の映像を思い返す






明彦
(にしてもDMでこんなもん届くかよ…気味悪ぃ)





そうして明彦は拾った紙きれを机の上に放ると、
割れたCDケースを怪訝な面持ちで窺い見るが






明彦
(そういや、さっきのムービーに出てきた奴の服どっかで見た事あるような…?)





彼は動揺しながらも、先程目に映った奇怪な光景の中に
恐怖とは別の、忘れ難い『親近感』と、
それに疑問を抱かせる不穏な空気に気付いた






明彦
(部分的に見直すぐらいなら…)




自分に言い聞かせる様にして思い立つと
明彦は再度パソコンの前に座り
問題のCDをドライブに入れ直した






「ウィィーン…」






明彦
「…」





「カチ…カチャ…カチャカチャ…」






明彦は慣れた手つきでキーボードを操作すると、
CDROMに収録された映像内容を
1コマずつ静止画に分割して先程の映像内容を再確認しだした






明彦
「よし…と、これで気になる映像を中から」








彼は達成感と大きな不安を脳裏に背負いながら、
自ら抽出した映像内の一コマをゆっくり覗き込んだ







明彦
「… … …」









明彦
「……れ…?」








明彦
「うちの校章かこれ?」





















その明らかに見覚えある目の前の事実を許容しきれず、
明彦はポカンとした様子で違和感を頭の中で整理し始めた



Last Update : 2004/06/10