トリックピエロ

 

私信








<山荘>


ここは美しい森林に囲まれたある山荘の一室。

ここで、まだ生々しさを感じる肉の玉を受け取った秀明と
それを渡したピエロのメンバーが対峙していた。



秀明
「ん…よくやってくれたよ。
感謝する」



ピエロのナイフ使い
「いえいえ、愉快な仕事を頂きまして(笑)」



「シャキッ…ヒュルルルル…」








秀明の丁重な儀礼に対しコートの男は
鋭いナイフを人差し指と親指で巧みに操り
高速で回しながら半笑いで答えてみせた。









「パシッ…」










そして、コートの男がナイフを回す手を止めると
秀明が自分の耳タブを引っ張り
耳の内側に張り付けたアクセサリーを彼に見せ付けた。










秀明
「ところで…どうだい?」











ピエロのナイフ使い
「あっ、それ…」



秀明
「この前貰ったね、歯をカッティングしたのさ…
エナメル質の輝きが美しい…綺麗な歯でね」




ピエロのナイフ使い
「似合うじゃない♪」




秀明
「後はそう、骨…人骨に勝る宝石は無い。」




ピエロのナイフ使い
「依頼命令であれば
どうぞ、ご自由に♪」









コートの男が陽気な口調でそう答えると
木製のロッヂにクラシックのBGMが
チープな音色で流れ始めた、








♪♪♪〜









秀明
「失敬…仕事、らしい」



ピエロのナイフ使い
「どうぞ♪」



秀明
「すまないね…
仕入れの件に関しては後日またこちらから連絡する」





ピエロのナイフ使い
「アデュー」









ナイフ使いの男はそういうと
手の平を秀明に向け二、三度振って別れを告げ
部屋からスーッと立ち去っていった










「ガチャン」






秀明
「さて…」









秀明は咳払いをして一呼吸間を置くと
医師の顔付きに戻り受信をキャッチした









「ピッ」









秀明
「秀明ですが…、何か御用でしょうか?」



女性の声
「あっ、院長ですか?私です、斉藤です。」









. . .


. . . . . .


. . . . . . . . . . . .














秀明
「あぁ…君は確か…」
3階病棟の担当婦長だったね。



斉藤婦長
「はい、西病棟を担当してます、斉藤です。」



秀明
「どうしました?私は現在出張の仕事が入ったので
席を空けると副院長に伝えておいたはずだけど…」









秀明は少し不快そうな口調でそう言うと、
電話のマイクに向かい一度咳払いをしてみせた









斉藤婦長
「はい、存じ上げているのですが、
現在副院長がお出かけになってまして…」



秀明
「そうかい…それじゃあ具体的な用件を
手短にマトめて伝えてくれるかな?」



斉藤婦長
「はい、病院長に会いたいという来客が入りまして。」



秀明
「来客…?」



斉藤婦長
「それで、一般患者の方なら指示の通り不在という事で
お帰りになってもらったのですが…」



秀明
「成る程、まあ、副院長が見当たらない上
特別な来客とあればいた仕方無い…



斉藤婦長
「申し訳ありません…」



秀明
「して、どなたかな?」



斉藤婦長
「元、精神科担当の大嶺医師です。」









秀明はそれを聞くと、
携帯を持つ手首をくねらせながら天井を見上げる様にすると
嘲る様な含み笑いをしながら応えた。









秀明
「あぁ゛〜…成る程…成る程…」





斉藤婦長
「あ、あのそれで院長…
どの様にしてさしあげれば?」



秀明
「解りました。

学会の講義をお願いされたので時間を削りましたが、
彼が来客という事なら仕方ありません。」



斉藤婦長
「はい」


秀明
「すぐ病院に向かいますので、大嶺先生に
待合室で待機する様に伝えておいて下さい。」



斉藤
「解りました…
お忙しいところ申し訳ありませんでした…」



秀明
「あぁ〜!それとっ」



斉藤
「はっ…はいっ!?」



秀明
「飴を差し入れておいて下さい。」



斉藤婦長
「はっ?はあ…」



秀明
「少し時間がかかると思うので」



斉藤
「解りました…」




「ピッ」







秀明は電話を切ると後方のデスクにあるパソコンを立ち上げ、
キーボードを叩き始めた



































■中学生のデッドフィルム入荷!■ 

G o t h i c  P r o j e c t
  PIERO
【Lot NO // 5-12113-LKLSPS //】



眼の光が全てを失うその一瞬を逃しません!
将来の希望に満ち溢れる少年が息絶えるまでを収めた
全長1時間半に亘る大作映像をお楽しみ下さい:-)

限定5本っ再販の可能性無し!
媒体メディアの指定がある場合はこちらまでお知らせを…
E-mail PiErot@mine.com」



『English』

The light of an eye does not miss the instant which loses all!
The work of art which enjoys slaughtering a boy.

Detailed information is here. PiErot@mine.com to here
































秀明はキーボードを打つ手を休めると
上着を脱ぎ捨て上半身裸になり自分の両肩を抱きしめた。

露出された秀明の背中には美麗な顔立ちをした
女性の肖像画がキメ細やかに描かれていた。





























秀明
「ママ…愛してるよ…」

Last Update : 2004/04/21