トリックピエロ

 

ヒデちゃん














マリー
「と…狙いはある程度定まった訳だけど」




「後、どうするかですよね」


透の言葉を聴いたマリーは口を大きく噛み合わせ、
ゆっくりと三文字の返答を渡した。


マリー
「そ・う・さ」
(捜査)





「…ったって、まだ他殺って決まったじゃないだろ(^^;」



下をうつむいていた須藤が
顎を上向きに顔を持ち上げ二人の方を伺う。



須藤
「加害者が自分の眼球くり抜いて
現場に埋めりゃあな…」




須藤の言葉に透の頬が赤らんだ。




<山荘>

男が開かれた戸の先を確認すると、
そこには深緑色のトレンチコートを着用し、
黒のシルクハットを深めに被り、
目を覆い隠した細身の男が立っていた。



細身の男
「やっほ♪」



細身の男は深く被ったシルクハットを
親指で「クィっ」と持ち上げると、
そこには切れ長の糸目に愛嬌のある口元、整った眉毛。
と、端整な顔つきが見てとれた。



虫眼鏡の男
「…仕事は終わったかい?」







































本名
アリアン・秀明

通称
ヒデちゃん

東洋医学者の末裔の義父を持つ父
「アリアン・孝嗣」(本名 白石孝嗣)と、

フランスの大富豪画家
「アリアン・アントワネット」
の、ハーフとして生まれる。


幼少の頃より大病院の医院長である父から
人体〜精神医学全般に関するノウハウを学ぶ。

また、
アーティストであった母の影響で、
14歳の頃より芸術学に関する教養を身に付け始める。



そうして、彼は一般の教育機関に通う事なく、
成人までの時を両親直々からの
教養・愛情を得て育っていく事になる。


だが、秀明18の頃、愛する母が他界。

父・息子はその死に嘆き苦しみ
長期間のノイローゼに悩まされる事となる。



父は己の持つ医療技術の限りを尽くし
アントワネットを蘇らせようとし息子を引き連れドイツ遠征。

そして現地の医学者陣の理を借りた蘇生術を試みるが
解体途中に息を吹き返したアンの断末魔が手術室に響き渡り
腹を開かせた状態で絶命させてしまう。


手術台に寝そべる母の無残な現場に立ち会った秀明は、
その後、間もなく呆然と立ち尽くす父の喉元を、
手に持ったメスでえぐり殺傷。


その後、彼は事の真相を金と権威で隠蔽し、
遺産相続を我物に。

現在、秀明はその資産を活かし
医療機関と通じた大規模なネットビジネス
「ピエロ」

そして医院
「アリアン統合クリニック」を経営。

ピエロの表向きは医療機器の販売という事になっているが、
裏事業では人体の解剖転売〜
グロテスク画像生成の為の事件発起を請け負い
猟奇的な犯罪活動を数々行っている。


また、それ等、請け負った犯罪に法の抜け道を見つけ
実行メンバーへ法外な報酬の伴う仕事をスリルと共に提供する
マネージメント役がこの秀明である。

今、秀明の目の前に立つ細身の男は
ピエロ実行役のナイフ使いである。

































トレンチコートのナイフ使い
「どう、ビデオ?」



秀明
「あぁ゛…ありがと。よく録れていたよ。」



メンバー
「そういえばヒデちゃんこれっ。
狩っといたよ」






細身の男はそういうとコートのポケットから
薄水色の小瓶を取り出し秀明に投げ渡した。








「パシッ」








秀明
「…これぁ゛」



秀明は声を裏返し高々とその小瓶を持つと、
見上げる様に中を覗き込んだ。

その中には、褐色のブヨブヨした球体が
ヘバリつく様に小瓶の表面に張り付いてるのが見える。



メンバー
「切り取るの苦労したよ♪た・ま・た・ま」


細身の男はコートの懐から
ジャックナイフを取り出し舌でナメズル様に刃先を舐めわたした。

Last Update : 2004/01/27