トリックピエロ

 

ステレオホラー

<保健室>

明彦
「にしてもオフクロさん気の毒だな…」



八重はこういった
人の為に自然と負の感情を持てる明彦の性格が気に入っていた。
同時期の中学生という思春期という立場において、
彼の様な人物は特に変わり者であったからである。



八重
「でも、本当公園入っちゃダメだよ。
警察がマークしてるからって今一番危険なんだから」



明彦
「今朝は事件の事知らなかったからなあ…
気をつけるよ」



明彦は今朝あった出来事をフト頭に思い浮かべつつ話を続けた。



八重
「ただでさえ近頃は物騒な事件多いっていうのに…」



明彦
「でも、なんで公園で…」





明彦が疑問を持ち目を落としたつ次の瞬間
保健室のドアが開く音がした。





「ガラッ!」





八重
「だれ?」



メガネの女子
「あの…」



明彦
「?」





明彦は見覚えのある女子の顔を
自分に反応する様子にキョトンとした表情で
視線を返す。





八重
「沙織ちゃんメガネ外したら」



メガネの女子
「…そだ」





女子は何か気付いた様子で
後ろを向きメガネを外した



明彦
「あの…誰?」





八重
「ほら」





腑に落ちない様子の明彦に対し、
八重はメガネの女子の方へと
顎で明彦の視線先を命じてみせた。





ショートヘアの女子
「さっきは…」






小声で気まずそうに呟く女子に明彦はハッとし声を上げる






明彦
「あっ、さっきの!」


八重
「沙織ちゃんやっぱコンタクトの方がいいわね」





大きい目に短めの髪型、
小柄でキャシャな彼女は
今朝校門前で明彦を保健室に追いやった彼女だった。





明彦
「あっ…と運んでくれてありがとうゴザイマス」





女子慣れしてない明彦は慌てた様子で彼女に返事を返した。



沙織
「えっ…?」



八重
「ケガさせられといて
御礼言ってんじゃないよ(笑)



沙織
「…(微笑)」



明彦
「えっ…と」





八重
「2-Cの山吹沙織ちゃん。」





沙織
「生徒委員会の山吹です。
さっきはごめんなさいね」



八重
「ダイジョーブよ。この子頭だけは良いから。
少し減っても問題ないでしょ」



八重が横から口を出すと明彦は下を向き赤面した。



沙織
「…あの私。そろそろ授業始まるんで」



明彦
「あっ。はいっ。ま たヨ ロ シク お 願い しま す。」



八重
「(^^;」


沙織
「(^^;」



こいつは天然だ。
二人はそう思った。


<木造の部屋>

ここはとある山荘の一室。
中に電気を引き部屋でビデオ鑑賞を楽しみながら
奇妙な笑い声を上げる男が居る。






虫メガネを覗き込む青年
「…んっヒュヒュッ…ヒュ!」






モニターには陰惨極まりない惨殺シーンが映し出されている。
細目の男はモニターに映し出されるその映像を
虫メガネで覗き込む様にして
笑いながらブツブツと独り言を語っている。

彼の耳には大型のヘッドフォンが装着され
どうやら音声はこちらで聞き取っている様だ。

また、かなりの大音量にしているらしく、
耳とヘッドフォンの隙間から漏れた音が
シンと静まり返った木造の部屋に響き渡る。


<ビデオ>
「ガクランを来た細身の少年」
あっ…きっ……何…っんだょぉ君らっ!
指がっ…ち・・くしょう(泣」



虫メガネを覗き込む青年
「いいねっ…いいねぇ…
無力だねぇ・・ヒ弱な男子中学生っていうのわぁん♪」






男は実に心地良い様子で笑みをコボし
目を細めたかと思うと
舌ナメズリしながら虫メガネをモニターにいっそう近づけた





<ビデオ>

「真ん中分けで筋肉質な男」
ごめんねボクちゃん。





男はそういうと細い少年の足を掴み
ネジり切る様な勢いでありえない方向に回してみせた。




「ガ…ゴッ・ギィン!」






少年

「んっきゃあぁぁぁぁぁぁぁ…!」





<モニター前>

虫メガネを覗く男
「フッヒャヒャッ!関節からいったか!
ビザ皿砕いて神経断ってるしっ
こりゃいてぇ(笑)」





<ビデオ>

真ん中分けで筋肉質な男
「て…と。これがオープニング…使用分と。」





男がジャンパーの胸ポケットから本の様なものを取り出し、
痛がる少年を無視しブツブツと読み上げていった。





筋肉質な男
「…部分解剖。
後に手・耳は後に使用するので綺麗に残し…」



少年
「ん…あっ…ギィィ…っく…」


次に外野から恐らくカメラを持つ男から催促の様な声がとぶ




カメラを持つ男
「おい。どうした?
時間収まらんぞ。」



筋肉質な男
「次は俺の仕事じゃないな。メスが要る」



カメラを持つ男
「そっか…」



筋肉質な男
「ジャッキーさん、お願い」





筋肉質な男は後ろを向きベンチに座る5人の内
黒装束に身を包んだ目付き鋭い男に声をかけた。





ジャッキー
「はいはい…」





男はそういうと面倒くさそうに腰を上げ、
カカトで靴を鳴らしユックリと歩き始めた。

少年の傍に来た男は屈み込み
彼の顔に視線を合わせる。



少年
「……ぃ゛ぃ゛ぃ゛」





少年は恐怖のあまり
全身の震えから声を痺れさせた。





ジャッキー
「おいっ、ライ君台本くれ」



筋肉質な男
「はいよっ」





ライと呼ばれた筋肉質な男は軽快な様子で返事を返し
手に持っている冊子を黒装束の男に投げ渡した。

黒装束の男は受け取った冊子に目を通すと
実に穏やかな表情を露に少年のアゴを撫で摩った。





少年
「………ヒュー……ヒュー…ヒュー」





少年はその空気の威圧感に押し殺されそうになりながら
ゆっくり呼吸を繰り返した。

恐怖感に耐え切れなくなった少年が目から大粒の涙を一筋流すと、
黒装束の男は上着の裾から白い手袋と一本のメスを取り出し。
手袋を装着した手でメスを握り
その涙を頬からなぞる様にして瞼の方に持ち上げていった。

そしてメスが瞼のところまでくるやいなや
黒装束の男はメスを持つ手をピタっと止め
こう言い放った。


ジャッキー
「切開入ります」





そういうと彼は手に持つメスをユックリと横に引く



「シャグッ」




少年
「ンギィアアアアアア゛!!」
















虫メガネを覗きこむ男
「素敵だ…」





モニターを覗き込む彼の眼は中央に寄り崩れ、
トロンと眠たそうな目付きで吐息を漏らしている。
その時彼の空いた片手の平は包み込む様にして
彼のイチモツを握り締めていた。






「トントン…」




部屋の戸をノックする音に気付いた彼は
慌ててズボンの中から手を取り出し
ビデオを消すと落ち着いた様子で返事を返した。



虫メガネを覗きこむ男
「どうぞ…」

Last Update : 2003/12/16