トリックピエロ

 

Sweet lunch
















マリー
「不二家に歴史ありって感じだね」




透は煮えくり返った気持ちを内に抑え篭った声でこう返した





「あんた仕事何年やってんだ…」




マリー
「そのケーキ食べないなら…」




自分の分を食べ終えたマリーが物欲しげな眼つきで
透の分のケーキをフォークで指し示すと、
彼は目の前のケーキを鷲掴みそのままデカデカと開けた口に放り込んだ。





<アァ゛ングッ…!>




マリー
「下品な男だねえ…」




マリーの虐舌的な一言を耳にしたと透は、
ケーキで口内をモゴモゴしたままマリーを睨みつけた





「…
<ムグムグ>




マリー
「アッハッハッ!ニラメッコ強いだろあんた(笑)」




腹を抱えその様子を嘲笑うマリーの様子に耐えかねた透は、
コップを取り口の中のケーキを水で喉奥に流し込もうと上を向くと
呼吸にして三泊程でケーキを飲み込み、
下を向き一つ息をついた後で真正面に向いこう叫んだ。





<ップハァ!>検死の開始時間はとっくに過ぎてんだぞ!」




しかし彼が叫んだその場所にマリーの姿は無かった





「あれ?」




唖然として口をポカンと開ける透に
店の入り口の方からマリーの声がかかる




マリー
「何してんだい!さっさと出てきな!」





「くぅ…」




透は悔しさを内に噛み締めた表情でレジに走ると、
ショートケーキの代金を支払いマリーの元へ駆け寄った。





「ああ、もう20分も遅れて…」




マリー「さっさと現場行くよ」





「ったく…そこの駐車場に車止めてあるよ。
急ぐから走ってくれ」




マリー
「食後間もない運動は身体に悪い負担を…」




その言葉の一端を聞くや否や透はマリーの手を取り、
引っ張るように走り出した。




マリー
「なんだいアンタ!」





「そっちが教えろ!」

Last Update : 2003/07/16