<ガガガ…>
門を閉める女子
「んしょ…んしょ…」
明彦の目の前では一人の女子生徒によって校門を閉じているとこだった。
ショートヘアに大きい瞳、小柄な身体にか細い腕をもって
懸命に門を閉じようとする彼女の額には薄っすらと汗が滲んでいる。
そして、中寄りに加速された横開きの門が閉じる瞬間、
明彦は滑り込む様に手を伸ばした
明彦
「待っ…!」
<ゴリッ>
明彦 「ッギャァ!」
女子
「キャ!」
伸ばした明彦の手を潰す鈍い手応えを感じた女子は
思わず叫び声を上げ門を閉じている手を止めた
女子
「だ、ダイジョブ…?」
明彦 「あ、痛タタタ…
手といい、足といい…(泣)」
挟まれた痛さで思わずシリモチをついた明彦は、
苦悶の表情で半泣きの声を上げた。
その彼の表情は実に滑稽な哀愁に満ちたものだった。
女子
「ちょっと、血が出てるじゃない!」
明彦が彼女の大きな声に気付き上を向くと
自分の手の甲を見た心配そうな彼女を気遣う様にこう言った
明彦
「ああ、平気だって、すぐ止まったし。皮剥いただけでしょ…」
女子
「平気じゃないわよっ
ゴメンナサイ…保健室付き合うから立って」
倒れた自分に差し伸べられた彼女の小さな手を見た明彦は、
少し照れくさそうに下を向くと軽く会釈をしてから彼女の手を取った
女子
「んっしょ!」
しかし、力を入れた彼女の手が焦って走ってきた明彦の手の平に滲んだ汗に弾かれた
<ズルッ…>
<ゴン!>
明彦 「ぐわっ!」
女子
「きゃっ!」
彼は後頭部を打つと今度は白目を剥いて倒れた。
ピクりとも動かない明彦を見た女子は、
大の字に倒れた彼に恐る恐る語りかける
女子
「い…生きてる?」
今の彼は話せない。