威圧感ある風貌に圧倒された明彦はそう思うと、
右につけた腕時計に視線を下ろし登校までの時間をカウントし始めた。
明彦「(今7時45分だから…40〜50分遅れてくか、
校長の無駄話なげーし余裕だろ)」
少しすると、
ここから600m程離れた明彦が通う学校の校庭から響く朝礼の挨拶が
沈黙の公園に篭った木霊を運び始めた。
その声は明彦の耳を素通りし、
ただ、目の前を一定に回り続ける秒針の針の音色が
味気無い打楽器の様に彼の頭を巡り続けていた。
「チッチッチッ…」
…
明彦「 … 」
朝礼「昨夜、2-B組の伊原健太君が…」
……
老人「 」
「チッチッチッチッチッ」
………
明彦「 … 」
朝礼「時として運命は非情に過酷な…」
…………
老人「 」
「チッチッチッチッチッチッチ」
………………
明彦「 … 」
朝礼「この場を借り、遠く旅立った彼の為…」
……………………
老人「…」
「チッ…」
しばらくすると
突然、明彦の腕時計の秒針が止まった。